神風・愛の劇場スレッド 第166話『きょうだい』(その9)(9/1付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 01 Sep 2002 17:22:32 +0900
Organization: So-net
Lines: 415
Message-ID: <aksio8$bk6$1@news01cg.so-net.ne.jp>
References: <ah3tp3$glr$1@news01db.so-net.ne.jp>
<ai0rm3$8ji$1@news01cc.so-net.ne.jp>
<ajo8kt$ct$1@news01cb.so-net.ne.jp>
<akalv3$910$1@news01di.so-net.ne.jp>
<akseoa$4pe$1@news01cc.so-net.ne.jp>
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石崎です。

神風・愛の劇場 本編第166話(その9)です。

#本スレッドは神風怪盗ジャンヌのアニメ版第40話より着想を得て続いている
#妄想小説スレッドです。所謂二次小説的なものが好きな方だけに。

(その1)は、<af4q7o$k82$1@news01bf.so-net.ne.jp>から
(その2)は、<afvb3c$9p6$1@news01cf.so-net.ne.jp>から
(その3)は、<ageulu$6ri$1@news01dd.so-net.ne.jp>から
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(その6)は、<ajo8kt$ct$1@news01cb.so-net.ne.jp>から
(その7)は、<akalv3$910$1@news01di.so-net.ne.jp>から
(その8)は、<akseoa$4pe$1@news01cc.so-net.ne.jp>から

 それぞれお読み下さい。




★神風・愛の劇場 第166話『きょうだい』(その9)

●…

「じゃあ、こうしましょう」
「え?」
「今朝の続き」
「続きって」
「忘れさせてあげる。何もかも」
「ツグミさん?」

 私は何をしているの?
 今ならばまだ、引き返せる。
 ちょっとした悪ふざけで済ますことが出来る。
 今朝と同じ、ちょっとしたじゃれ合い。
 でも。

 部屋の灯りは落としてあるけれど、私は光を必要としていない。
 横たわる彼女の姿を見ている私の手は、彼女の心をも露わにしていく。

 少しでも拒否されれば、そこで止める積もりだった。
 どうして拒まないの?
 あなたのことを信じても良いの?

 私の手が、彼女の全てを明らかにした。
 そう思った時、私は言った。

「それで良いのよ、まろん」

 違う。
 本当に求めているのは私。
 日下部さんじゃない。
 だって…。


●桃栗町 西部郊外 ツグミの家

 ひんやりとした空気を肌に感じ、ツグミは目を覚ましました。
 その手が全の身体を抱きしめていることに気付き、慌ててツグミは彼から離れ
ました。
 そうしてから、彼の様子を伺います。
 幸いにも、彼は未だ寝息を立てている様子で、ツグミは安堵のため息をつきま
した。

 寝台から起き上がったツグミは、窓辺に歩み寄ります。
 窓の外は雪が降り積もっている筈ですが、もちろんそれはツグミには見えませ
ん。

「ふぁーあ」

 全の声を背中に感じ、ツグミは振り向きました。
 物音と気配から、全が起き出したことを感じたツグミ。

「全君? 起こしちゃった?」
「おはようございまぁす」
「今、何時? そこに時計があるでしょ」
「えと…9時を過ぎてまぁす」
「大変。凄い寝坊しちゃった」

 慌てて着替えようとして、そこに全がいる事に気付いたツグミ。
 出て行ってと言おうかどうか、一瞬迷いましたが、結局気にせず着替えてしま
いました。
 全に手伝って貰っての遅い朝食。
 冷蔵庫の中身は殆ど空で、今日こそは買い物に出かけなければと思います。

「ね、全君。今日は何か予定あるの?」
「えと…。家に帰って夕食の準備でぃす」
「それじゃ後で一緒にお買い物に行く?」
「はぁい。けど」
「何?」
「外は雪が沢山でぃす」
「昨日は歩いて帰って来た位だから大丈夫だと思うけど」
「えと…。僕は雪は初めてで…その…」
「そうなの?」
「前に住んでいた所は、雪、降りませんでぃしたから。だから…」

 急に、全が何を望んでいるのかに気付いたツグミは言いました。

「ね、全君。お買い物行く前に、庭で遊ぼうか」



 自分から言い出したものの、実は雪は苦手だったツグミ。
 普段歩き慣れた庭も、積雪の為にまるで違う場所に変化します。
 それでイカロスを連れて庭に出たツグミ。
 もっとも、庭先なのでハーネスをつけることはしなかったのですが。

 全は先に庭に出ていました。
 そう言えば、彼は長靴を履いていただろうか?
 そんなことを考えたツグミ。
 聞くと、普通の靴を履いていると言うのです。
 まだ濡れているので、今更気にしないと。
 仕方が無いので、自分の長靴を履かせることにしたツグミ。
 しかし、サイズが大きいものだから、今度は走り回っているうちに庭で大の字
に転んでしまいました。

「大丈夫?」
「全然平気でぃす。転ぶのには慣れてますから」

 そう言えば、この子は出会った時には杖をついて歩いていたのだった。
 今では、全く普通ね。

「ツグミお姉さんも一緒に遊ぶでぃす」
「あ…」

 全に引っ張られる様にして、庭の中央に出たツグミ。
 晴れているらしく、日差しを肌に感じました。

「何して遊ぶ?」
「雪だるまを作りたいでぃす」
「あ、それ良いわね」

 二人で力を合わせて作った雪だるま。
 出来映えの程は良く判らなかったのですが、全は良く出来たと満足そうでした。

「きゃっ」

 ツグミが、雪だるまの形を確かめるように触っていると、突然頭に冷たい物が
ぶつけられました。

「今度は雪合戦でぃす」
「やったわね」

 目が見えないが故に、このような場面では圧倒的に不利なツグミ。
 鈴でもつけて貰わないとフェアじゃないわ。そう思います。
 しかし、ツグミの耳は全の足が雪を踏む音の方角を潮騒の中から正確に捉えて
いました。
 全が慣れないツグミの長靴を履いているのも有利な要素でした。
 ツグミが位置を推定して、投げつけるまでの全の移動速度が大幅に低下したか
らです。
 全の足音の変化を耳で捉えつつ、雪玉をこしらえて、全の予想未来位置に投げ
つけたツグミ。

「外れでぃす」

 しかしやはり、初弾から命中させることは叶いませんでした。
 全の足音が止まりました。
 雪を集めている様子。新しい玉を補充しようと言うのでしょう。
 そこを狙って新たな雪玉を投げたツグミ。
 今度は狙い違わず命中しました。

「お返しでぃす」

 ツグミは屈んで、雪玉を回避しました。
 雪をかき集めて手早く丸め、全にサイドスローで投げつけるツグミ。
 全は移動していなかったので再び命中。
 全がばたばたと走ろうとして、転ぶ音が聞こえました。
 その隙に、かき集めた雪を玉に整形したツグミは立ち上がろうとした全に雪玉
を投げつけました。
 今度は手応えが無かったので外れだったのでしょう。
 お返しに、今度は雪玉をぶつけられてしまいました。

 暫くそうして遊んでいる内に、汗とぶつけられた雪で服も身体も濡れてしまっ
た二人。
 一度、家の中に引き上げることにしました。

「あ、道から誰か来まぁす」
「え?」
「郵便屋さんみたいでぃす」
「あら、こんな日に大変ね」

 ツグミは、玄関先へと向かいました。

「あ、あの。郵便です」
「ご苦労様です。雪は大丈夫でしたか?」
「あ、はい。そこの県道は一応除雪されていましたので」

 何故かちょっと動揺した様子で、郵便配達人は答えました。

「そう。それなら出かけられるわね」
「あ、あの」
「はい?」
「どこから来たか、読み上げましょうか?」
「大丈夫です。ここに読んでくれる人がいますから」

 傍らに立っていた全をツグミは指差しました。

「そうですか…」

 何故か落胆した様子で、郵便配達人は県道へと続く道を歩いて行き、やがてバ
イクが走り去る音が聞こえました。

「どうしてあのお兄さん、顔を真っ赤にしていたんでぃすか?」
「あら、そうなの?」

 それで漸く郵便配達人の態度を理解したツグミなのでした。

 郵便物を手にしたツグミは、まず手で持って確認します。
 最終的には晴眼者に確認して貰わなければなりませんが、ツグミの事を知って
いる相手からの郵便であれば、ツグミに判る様にしてくれている筈でした。

「あ…これは」

 若干のダイレクトメールの中に混じって、宛先に点字が封筒に直接印字された
ものが一通ありました。
 しかし、裏面には点字は打たれていません。

「全君、これ」
「宛名の上に点々が打たれてまぁす」
「そっちじゃなくて裏側。差出人は誰になってる?」
「差出人は何も書いてありませぇん」
「そう…。また、あの人ね」
「あの人?」
「後で話すわ。とにかく今は早く中に入りましょ」



 家の中に入ったツグミと全は、タオルで濡れた身体を拭きました。
 全は大して濡れていないからと、そのままで良いと言ったのですが、自分は服
を着替えたツグミ。
 その間にこの家の台所のどこに何があるかを覚えていた全は、暖かい紅茶を入
れて待っていてくれました。
 どこから見つけたのか、クッキーまで用意しています。

 リビングのテーブルの上に置いてあった封筒を開け、中の手紙を取り出したツ
グミ。
 予想通り、折りたたまれて入っていた手紙も普通紙に点字が印字されていまし
た。
 その手紙を最後まで読んだツグミ。
 何時もと同じく、やはり本当の名は明かさないままでした。
 封筒の中には手紙だけで無く、もう一つの袋が入っていました。
 それを開けて、中の紙を取り出したツグミ。
 こちらには、点字シールが貼られていました。

「やっぱり、あの人だった」
「誰でぃすか?」
「季節の折々に、名乗らずに手紙をくれたり贈り物を届けてくれる人」
「気味が悪いでぃす」
「母が亡くなってから、届くようになったの。一人で暮らす私のことを心配して
いるみたい」
「向こうは、ツグミお姉さんのことを知っているんでぃすね」
「うん。それでね、この手紙が来た時におばあちゃんに相談したの」
「『ふらんす』の人でぃすね」
「うん。母方の方よ。その頃はまだ元気だったから」
「それでどうなったんでぃすか?」
「暫くして家に来たおばあちゃんは手紙を見て、ああ、あの人だって」
「あの人?」
「うん。それで、これはありがたく頂いておきなさいって」
「誰だったんでぃすか?」
「うん。おばあちゃんの初恋の人」
「初…恋? ツグミさんのおじいちゃんでぃすか?」
「ううん。違うの。それは別の人よ」
「それでは、その人とは別れたんでぃすね」
「うん」
「それなのに、今でもツグミお姉さんのことを心配しているんでぃすか?」
「らしいわね」
「良く判らないでぃす」
「おばあちゃんから聞いた話はこうなの。昔、おばあちゃんがパリで働いていた
頃、日本人の画家と知り合ったの。頼まれて、その人のモデルになって通ってい
る内に、その人と恋に落ちたのね」
「それがその手紙の人なんでぃすね」
「そう。それで、二人は将来を誓い合ったんだけど」
「駄目だったんでぃすか?」
「うん。その頃はまだ人種的偏見も強かったから、まずおばあちゃんの実家に反
対されたんだけど、それは大きな問題じゃ無かったわ。本当の原因はそれから。
おばあちゃんの実家の両親を漸く説得した頃になって、日本からある知らせが届
いたの。その画家のお父さんが危篤で、急に日本に帰らないといけなくなったん
だって。それで、直ぐに迎えに来るからと言い残して、その画家は日本に一時帰
国したんだけど、半年経っても一年経っても、その人は迎えになんか来なかった。
手紙を出しても返事は来ないし。とうとう、おばあちゃんは思い余って日本へと
旅立ったの」
「それで…どうだったんでぃすか?」
「日本の連絡先を訪ねていくと、そこは大きなお屋敷だったの。貧乏画家だと思
っていたその人は、実はお金持ちだったのね。それでも勇気をふるって屋敷の中
に入ってその人と会おうとしたんだけど、その人は屋敷に居るには居たんだけど、
決して家の人に会わせて貰えなかったんだって」
「酷い話でぃす」
「その後毎日毎日、お屋敷の前に立って、その人が出て来るのを待っていたんだ
けど、その人が外出する時は必ず車に乗っていて、すぐに走り去ってしまったか
ら、話す事も出来なかったそうよ。それである日、思い切ってお屋敷から出て来
る車の前に飛び出して、止めたんだけど」
「その人とは会えたんでぃすか?」
「ううん。その車に乗っていたのは、その人のお母さんだったの。おばあちゃん
は、随分と綺麗な英語を話すそのお母さんに言われ、そのまま車に乗せられて、
あるホテルへと連れて行かれたの。そこで、その人のお母さんに、息子には既に
婚約者が居ることを告げられて、手切れ金として小切手を差し出されたそうよ」
「お金で別れろなんて酷いでぃす」
「うん。だからおばあちゃんは、小切手をその場で破り捨てた。その人のお母さ
んは、これ以上息子の側にまとわりつくならば、警察に訴えると言い残して、立
ち去ったそうよ。おばあちゃんは途方に暮れた。せめて一度出会って、彼の真意
を確かめたい。そう思ったのだけど、異国の地でどうしたら良いか判らなかった
の」
「諦めちゃったんでぃすか?」
「そんな時、おばあちゃんに声をかけて来た男の人がいた。その人は初対面の筈
のおばあちゃんに、いきなりフランス語で話しかけて来たそうよ。外人と言えば
すぐアメリカ人と想像するこの国なのにね。最初は警戒したんだけど、その人は
とっても礼儀正しい態度だったし、異国の地で一人で心細かったから、気を許す
様になった」
「何だか心配でぃす」
「大丈夫。本当にその人は紳士だったの。その人は、その頃は海外の通信社の日
本支局に勤めていたそうよ。そして、おばあちゃんが気を許した頃に、自分がそ
の人──画家の方よ──の大学時代の友人だと明かしたの。その友人はおばあち
ゃんに、その人の実家は今、当主が倒れて、その人が後を継がないとならない事、
会社も経営が苦しくて、支援を受けるためにある企業グループの娘さんと無理矢
理婚約させられている事を教えて、そして言ったの。彼は婚約はしていても結婚
はしていない。それは、君がいるからだとね」
「それは良かったでぃす」
「あいつは、自分の家と家族を見捨てることが出来る奴じゃない。友人はそう言
って、おばあちゃんにフランスに帰って別の幸せを見つけるように勧めたの。だ
けどおばあちゃんは納得しなかった。どうしてもあの人に今一度会って、その口
から確かめるんだって」
「当然でぃす」
「おばあちゃんの固い決意を知ったその友人は、ため息をついて言ったそうよ。
本当は、その人におばあちゃんと会うことが出来る様に、連絡を頼まれていたと。
だけど、会えば余計辛い思いをすることになると思ったから、言い出すことが出
来なかったと」

 一気に話して口の中が乾いたツグミは、冷めつつあった紅茶を啜りました。

「それで、どうなったんでぃすか?」
「その友人の手引きで、都会から少し離れた保養地で、二人は再会したの。その
人はこっそり家を抜け出ていたから、一緒に居られる時間は一晩だけ。その一晩
の間、何を話したのか、どう過ごしたのか、おばあちゃんはそこまでは話してく
れなかったけど、その後でおばあちゃんはフランスに帰ったの」
「悲しい話でぃす」
「暫くは泣き暮らしていたそうよ。だけどね、この話には後日談があるの」
「どんな話でぃすか?」
「フランスに帰って暫くしたある日。その友人がひょっこりおばあちゃんの前に
姿を現したの。パリで仕事を見つけたんだって。それから毎日、その人のおばあ
ちゃんに対するアタックが始まったわ」
「まさか、その人が?」
「ええ。その友人が、私のおじいちゃんなの。酷い話よね。友人の恋人に一目惚
れして、別れたと知ったら、自分のものにしようとしたのよ」
「横恋慕って奴でぃすね」
「難しい言葉知ってるのね。やがておじいちゃんと一緒に日本にやって来たおば
あちゃんは、その人とおじいちゃんと一緒に参加したパーティーで再会したの。
本当はおじいちゃんはその人におばあちゃんを会わせたくなかったらしいんだけ
ど、無理にパーティーに出て強引に再会したんだって。その人の婚約者は出来た
人で、その人を陰から支えてくれて、幸せな家庭を築いていたそうよ。そこで、
お互いに幸せな家庭を築いていることを知った二人は、今後は良い友人として生
涯つき合おうと誓ったんですって」
「おばあちゃんはその人のことをずっと好きだったんでぃすか?」
「多分ね」
「それだと、おじいちゃんが可哀想でぃす」
「ううん。おばあちゃんは、おじいちゃんのことも愛していたわ。心から。近所
でも有名な熱々の夫婦だったそうよ」
「良く判らないでぃす」
「そうね。おばあちゃんの気持ちは、私にも全ては理解出来ない。だけどおばあ
ちゃんはこう言ってた。これで良かったんだって。幸せというのは自分達だけで
築けるものでは無くて、周りの人も幸せにして初めて本当に幸せなんだって」
「そんなものでぃすか」
「そんなものなのかも」

 そう言いながら、ツグミは別のことを頭に思い浮かべていました。

 大病院の娘との縁談を断り、駆け落ち同然で母と結婚した父。
 その為に出世の道を断たれ、苦労しながらも幸せな生活。
 でもその幸せも長くは続かなかった。
 おばあちゃんとは対照的。

 今の自分だってそう。
 本当に今の幸せを追い続けて良いの?
 絶対に周りには祝福されそうにない。
 神の摂理に反しているもの。
 だけど、この気持ちは…。

「ツグミお姉さん?」
「何?」
「そこまで判っているのに、その人が誰か判らないんでぃすか?」
「うん。おばあちゃんはその人が誰かについては決して教えてくれなかったから。
それに、この話をしたことは、二人だけの秘密って言ってたし。この話、日下部
さんにもした事がないのよ。全君にしたのが初めて」
「僕に話して良いんでぃすか?」
「全君は特別。でも、この事は内緒よ?」
「判りましたでぃす」
「あ、そうだ。全君、こんなのを貰ったんだけど、興味あるかな?」

 そう言うとツグミは、手紙に同封されていたものを全に見せるのでした。


●オルレアン・まろんの部屋

 結局目覚ましが鳴っても起き上がることが出来ず、実際にまろんが床を出たの
は午後2時過ぎの事でした。
 起きると最初にしたのは、ツグミの家に電話を入れる事。
 しかし、何度呼び出し音を鳴らしても、相手は出ないのでした。

「出かけてるのかな?」

 そう思い、受話器を置いたまろん。

「夕方には帰ってるよね、うん」

 そう呟くと、まだしていなかった洗濯を始めるべく、寝室から出て行くのでし
た。

(第166話(その9)完)

 大分前に張った伏線を漸く今頃出しつつあったりして(笑)。
 後2週程で完結出来るはずです。

 では、また。

--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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