C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0 『さくらとまろんと春の海』(8/16付) 書いた人:藤森英二郎さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: fj.rec.animation,japan.anime,japan.anime.pretty
Subject: C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0(1/4) (Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18))
Date: Thu, 16 Aug 2001 06:47:32 +0900
Organization: So-net
Lines: 549
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石崎@です。

 暑い中、夏休みの方も多いかと思いますが、如何お過ごしでしょうか。
 f.r.aではシスプリ記事が大爆発しておりますが…本業が忙しい所為もあり、
ちゃんと見ていないのでついていけません(汗)

 …と戯言はさておいて、
 現在とある事情にてNetNewsより離れている藤森英二郎さんより、カードキャ
プターさくら及び神風怪盗ジャンヌの合体妄想をメールで頂きました。
 NetNewsへの投稿の許可も頂いておりますので、代理投稿します。

 この記事は、標題からも明らかなように、藤森さんが投稿されていた
C.C.SAKURA Original Storyの10作目に当たります。
 それと同時に、「神風・愛の劇場」スレッドに昨年5月頃(笑)に投稿された、
C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne(Re:Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18))に関連した
エピソードでもあります。
 …と言う訳でこの記事は、「神風・愛の劇場」スレッドのフォロー記事として、
japan.animeをフォロー先に加えて投稿しております。

 全文で約2000行程ありますので、4分割して投稿します。
 皆様に妄想を膨らませて貰うべく、今日と明日の二日間に分けて、2通ずつ投
稿することにします。

 …お待たせしました。では、以下より藤森さんの妄想記事です。


(ここより藤森さんの妄想)

はろ〜ん、藤森@堕天使フィンだよ〜ん。(<に、似合わないし気持ち悪い〜!)

フィンの地位を進呈されちゃいましたが・・・
私の妄想中では、フィンはクイーン(魔王のパートナー)とは名ばかりで、
実質的には「まろんのおもちゃ」なんですよねえ。(^^;

#自分自身の羽でくすぐられたり、生○用品の実験台になったり、
#○○膜がどうなってるか確かめられちゃったり。(謎爆)


さて、以前知世ちゃんが悪魔に取り憑かれる「CCさくらVS神風怪盗ジャンヌ」
という妄想をしましたが、今度は「さくらちゃんとまろんちゃんが、
それよりかなり前に会っていたら」というのを妄想してみました。

実はクロウカード「ウェイブ」を題材にして、「さくらと知世と冬の海」という
題でプロットを考えていたのですが、あまりにシリアスになり過ぎたため
封印していたものを、まろんちゃんを登場させることにより
少しコメディ寄りにしてみたものです。

それでは・・・「レリーズ!(封印解除)」
「Fの創りしプロットよ、古き姿を捨て、生まれ変われ!
 新たな登場人物、まろんの名の元に!」

#なお、さくらちゃんとまろんの面識が無かった前の妄想と、
#若干整合性が取れていないのはご容赦下さい。(^^;
#また、とんでもなく長くなってしまいましたので気合いを入れてお読み下さい。
#(1時間スペシャルくらい・・・かな?おまけも付いております。)


アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』


冬の厳しい寒さから、少し暖かくなってきた頃・・・友枝小学校は春休みです。
さくらちゃんは年末年始からこの春休みまでの間に、アロー(矢),
ファイアリィ(火),バブル(泡),ライブラ(秤),スルー(抜)と、
次々にクロウカードを封印して、大忙しでした。

#なお、これらのエピソードが一部放送されなかったのは、
#某財閥からNHKに圧力がかかったせいかもしれません。(汗)

また、ちまたでは予告状を出して盗みを働く正統派の怪盗、
ジャンヌが出現して世間を騒がせ始めています。

まろんも都も桃栗中学を卒業したばかり。
まろんの家に準天使フィンが押しかけ、しぶしぶまろんが怪盗家業を始めた、
そんな時のできごと。


★友枝町 木之本家 お昼時

「ケロちゃ〜ん!ごはんだよ〜っ!
 今日はお父さんもお兄ちゃんもいないから、一緒にごはん食べよっ!?」

大学も春休みなので1週間ほど発掘調査に行って留守の藤隆お父さんと、
バイトに精を出している桃矢兄ちゃん。
ケロちゃんと二人でお留守番のさくらちゃんは、お昼御飯を作って、
階段の上り口から2階のケロちゃんに声をかけます。

しかし、いつもなら「ごはん」と聞いただけで飛んでくるはずのケロちゃんが、
今日に限って何の反応もありません。

「ほえ?・・・またゲームに夢中になってて気がつかないのかな・・・?」

耳を澄ますさくらちゃんですが、2階からゲームの音楽もケロちゃんの
「おらおらおらおら〜っ!」とか「うりゃりゃりゃりゃ〜っ!!」とかの
掛け声も聞こえてきません。

「ケロちゃん、ひょっとして寝てるのかなあ?」

一旦寝ると、地震が起きても目を覚まさないケロちゃん。
さすが、何十年も眠こけていた守護獣です。
さくらちゃんは一計を案じて、
ケロちゃんが必ず飛び起きるだろう呪文を唱えてみるのでした。

「(小声で)今日のごはんは、『お好み焼き』だよ〜っ。」

バターンッ!

とたんに、2階のさくらちゃんの部屋のドアが勢いよく開く音がして、
ケロちゃんが階段伝いに飛んできます。

「お、お好み焼き〜っ!お、お好み焼きぃ〜っ!(感涙)」
「んもう、ケロちゃん、寝てたでしょ?」
「ね、寝てなんかおるかい!ちょ〜っと考え事しとっただけや!」
「考え事?ケロちゃんが〜?」

純真で人を疑うことを知らないさくらちゃんですが、さすがにケロちゃんには
散々な目にあっていますので、明らかに疑いのまなざしです。
(↑夏休みの算数のドリルとか。)

「嘘やないで!さくらのおかげでクロウカードも順調に集まっとるんやけど、
 どうもな〜んか引っかかっとることがあるんや。」
「引っかかることって?」
「だから、それを考えとったんや。」

話しながら、ケロちゃんと一緒にリビングに入るさくらちゃん。
つけっぱなしだったテレビから、アナウンサーの声が響きます。

【・・・怪盗ジャンヌに対し、警視庁では『ジャンヌ特捜班』の設立を決め、
 メンバーの人選を開始して・・・】

「何か、おかしなことでもあるの?」
「・・・怪盗・・・神出鬼没・・・そうや!イレイズのカードや!」
「イレイズのカード、去年の夏にもう封印したけど・・・」
「そうやない。イレイズのカードが遠くの海まで行っとったっちゅうんが
 引っかかっとったんや。」
「ほえ?」

席について、お好み焼きを食べ始めるさくらちゃん。
ケロちゃんは大きなお好み焼きを切りもしないで端からかぶりつきます。

「もごもご・・・これまで、ほとんどのカードがこの友枝町に出現したやろ?」
「うん。(ぱくぱく)」
「はふはふ・・・クロウカード自身に移動能力が無い限り、ウィンディに
 飛ばされたくらいやったらそうそう遠くまで行けへんはずなんや。」
「そういえば、友枝町以外に出現したのって、隣町まで跳んで行ってた
 ジャンプと、海まで行ってたイレイズだけだね。(もぐもぐ)」

「そやろ?イレイズ自身には移動能力はほとんどあらへん。
 そやから、イレイズを海まで運んだカードがおるはずや。」
「自分で遠くまで行けるクロウカードって・・・フライとか?」
「移動能力いうたらフライが代表格やな。フライはカードを散らばしてから
 すぐ封印でけたから良かったんやで?もし、フライが他のカードと一緒に
 海の彼方まで飛んでっとったらと思うと・・・」
「ほえ〜っ!」
「・・・ぞっとするやろ?」

【・・・次のニュースです。】

「でも、他にイレイズを海まで運べるカードって・・・」
「そのカードが何かは問題やない。
 そこに、まだそのカードがおるかもしれんっちゅうことが問題なんや。」

【・・・の海岸で、高さ十メートル以上の大波が発生しております。
 海上保安庁では、漁船、観光客などに注意を促すと共に・・・】

「・・・け、ケロちゃん、この海岸は・・・」
「カードキャプターの使命として・・・ん?」
「去年、私たちが臨海学校に行った場所!?」
「な、なんやてぇ?!」

思わずテレビ画面のニュースに注目するさくらちゃんとケロちゃん。
そこには、風もないのに真冬の日本海もかくやというような大波が荒れ狂う、
去年の夏にさくらちゃん達が臨海学校に行った海水浴場が映っていたのでした。


★桃栗町 マンションオルレアン まろんの家 同時刻

フィンと一緒にお昼を食べながら、「お昼のニュース」でジャンヌ捜査の
動向をチェックしていたまろん。
怪盗家業を始めたばかりなのでヒヤヒヤしながら見ていましたが、
特別捜査班を作らないと対処できないくらいなんだから、
警察に怪盗ジャンヌの正体は掴めていないとわかり、少し安心した所です。

「言ったでしょ?ジャンヌに変身すれば、絶対に気付かれないって。」
「そうみたいね。ふう、一安心。」

「・・・まろ〜ん、まだジャンヌのお仕事嫌いなの?」
「だってぇ〜。私の前世がジャンヌなんとかだって言われても、
 全然実感が湧かないしぃ〜。」
「ちゃんと変身できたじゃない!
 まろんの前世がジャンヌ=ダルクだっていう証拠よ!」
「変身はできてもねぇ・・・魔法が使えるわけでも、
 自由に空を飛べるわけでもないし・・・」

こけっ!

なんだか見当違いなまろんの言葉に、
テーブルの上でデザートのイチゴを持ったままこけてしまうフィン。
食べかけのイチゴに顔を突っ込んでしまいます。

「ちょ、ちょっとまろ〜ん。な、なんなの〜?」
「そりゃあ私も女の子なんだもん。一番あこがれていたのは魔法少女なの!」
「ま、魔法少女ぉ?」
「次が戦隊物少女で、ず〜っと離れて最後が怪盗少女。
 やっぱり、『変身』『魔法』『決めポーズ』がないとね〜。」
「そ、そんな理由で・・・」
「私、高校に入ったら新体操部に入ろうと思っているんだけど・・・
 レオタード姿に美しく『変身』して、
 思う存分『決めポーズ』を取りたいからなのかも。」(てれてれ)

夢見顔のまろんにフィンはもはや言葉もなく、タオルのかかっている
所まで飛んで行って、自分の顔にくっ付いたイチゴの汁とタネを拭き取ります。

「それと、いくら正義のためでも、怪盗少女ってのはイメージが悪いわ。
 世間的にはやっぱり悪人・・・犯罪者なんだし。」
「怪盗ジャンヌは悪魔に取り憑かれた人を救い、悪魔から人類を守る、
 とっても大事なお仕事なの!」
「それはそうなんだろうけど・・・いくら悪魔を封印するためって言っても、
 貴重な美術品や文化遺産を跡形もなく消しちゃうのは心が痛むわ。
 それって、普通の泥棒よりたちが悪いもん。
 フィン、本当にチェックメイトするしか悪魔を封印する方法はないの?」
「・・・ないの・・・ごめんね、まろ〜ん。」

テーブルの上に戻ってきたものの、少し暗くなってしまったフィンと、
食べ終わってうつむいたまろん。
気まずくなってしまった二人は気分を変えようと、そろってテレビの方を向きます。
ちょうどそこに、不思議な大波が発生しているというニュースが流されるのでした。

「風もないのに大波なんて・・・変ね。
 フィン、あれも、もしかして悪魔の仕業なの?」
「確かに変だけど・・・波に取り憑く悪魔なんていないんじゃなぁい?
 悪魔は人間の『美しいと思う心』を集めているんだから。」
「大波を美しいと思う人もいるわよ。もしかしたら、悪魔のターゲットは
 ダイナミックな写真専門の写真家で、北斎の絵みたいに富士山と大波を
 並べて写真に撮りたいのかもしれないじゃない。」
「・・・そ、そうかもしれないけど・・・」
「それとも、大波に呑み込まれそうな江ノ島をスケッチしたい画家とか・・・」
「う〜ん・・・」
「それに、相手が波ならチェックメイトして消えても心が痛まないもんね。」

ずるっ!

お気楽なまろんの言葉に再びこけて、あらためてかじりつこうとしていた
イチゴにまたも顔を突っ込んでしまうフィン。

「むぐぐ・・・ぷはっ!んもう、まろんったら!」

顔をイチゴの汁で真っ赤にして怒っているフィンを無視して、
食べ終わった食器の片付けを始めるまろん。
大波が悪魔の仕業でなくても、好奇心から、
せっかくの春休みなので小旅行としゃれ込むつもりだったのでした。

#チェックメイトして「海」そのものが消えたらどうするんだろう。(^^;

#なお、大波が発生している場所は西伊豆あたりを想定しております。
#だから、まろんの「富士山」「江ノ島」発言はちょっと見当違い。


★友枝町 木之本家周辺 1年近く前

さくらちゃんが杖もなしで発動させたウィンディにより、
クロウカードの本から吹き飛ばされるカード達。

木之本家から飛び出すあまたの光の矢。その数、50本近く。
その内の何本かは近くのペンギン公園へと落ち、さらにその内の2本は
重なるようにペンギン公園内を流れる小川に突き刺さります。

舞い散る桜の花びらを水に浮かべて流れる小川に、
折り重なって浮かぶ2枚のカード。
上のカードには「消」「ERASE」の文字があり、
マジシャンのような姿の人物が描かれていました。

しばらく桜の花びらと共にたゆたっていた2枚のカードですが、
突然下のカードが光を放ち、水に溶けるように消えていきます。
そして、カードの下の水が盛り上がって小さな波となり、
その波は上にカードと桜の花びらを何枚か載せたまま
小川を流れ下って行くのでした・・・

#サーフィンのように「波乗り」でもしない限り、波そのものには
#物を運ぶ力はないんですが・・・まあ、普通の波ではありませんので。


★海水浴場 駐車場 夕方

「はう〜、やっと着いたあ。」
「まあ、すごい波ですわね。」
「ビンビン感じるで。クロウカードの気配や!」

車のサンルーフから身を乗り出して、荒れ狂う海を眺めるさくらちゃん達。
海水浴場の堤防の上には野次馬や警備の人たちが並び、
時にはそこまで波しぶきがかかる程の大波。
だが、さしもの大波も徐々に静まりつつあった。



・・・海水浴場までさくらちゃんたちがどうやって来たかというと、
もちろん知世ちゃんが車を出してくれたのである。

さくらちゃんは海水浴場までフライで飛んで行ってもよかったのだが、
知世ちゃんに黙って行くのは悪いような気がして電話をすると、
即座に大道寺家のキャンピングカーで行くということになってしまう。

この大型キャンピングカーは知世ちゃんのコスチューム運搬車とは違い、
中にベッドやキッチンまで備わっている本格的なものだ。
ただ、車内の1/4はさくらちゃんのコスチュームを入れるクローゼットと
撮影・編集器材で占められており、そのまま映画撮影ができそうな設備であった。

「さくらちゃんの映画を撮影するためのロケ用キャンピングカーですわ。
 こんなに早く役に立つ時が来るなんて・・・ああっ!幸せですわ〜っ!」
「と、知世ちゃん・・・(汗)」

というお約束のやりとりも、ここに来るまでにあったのでした。



・・・こうしてやっと辿り着いた海水浴場だが、
まだ野次馬や警備の人がいる以上、カードキャプターさくらは出動できない。

「もうちょい暗くなるまで待たんとあかんな。」
「ほえ〜っ!ま、また夜〜?!」
「でしたら、それまで少しこのあたりを観光いたしましょう。
 それに、急でしたので保存食くらいしかありませんから、
 お夕飯も食べに行きましょうね。」
「わ、わいはたこ焼きがええ!」
「そ、そうだね。出かけようか。」
「それでは、さっそくお着替えをば。」

すかさず右手にビデオカメラを持ち、左手にさくらちゃんのお出かけ用の
ふりひら服を出した知世ちゃん。
「映画撮影用」と言うだけあって、このキャンピングカーには
バトルコスチュームだけではなく様々な種類の服が置いてあります。

「べ、別にこの服のままでも・・・」
「でも、その服は普段着ではありませんか。よほどお急ぎだったのでしょう?
 せっかくのご旅行なのですから、やはりそれなりの服で行くべきですわ。」
「はうぅ〜。」(泣)

こうして、よそ行きのふりひら服を着せられてしまったさくらちゃんは、
時期外れの海水浴場周辺を知世ちゃんに撮影されながら
回ることになってしまうのでした。


キャンピングカーを運転してきた知世ちゃんのボディガードのお姉さんは、
例によって別の車でこの場を離れ、ホテルに向かっています。
彼女達は園美お母さんに雇われているのですが、
知世お嬢様にうるうる目で「お願い」されると、
さくらちゃん同様どうしても断れないのでした。


★海水浴場近くのバス停 同時刻

「だ〜っ!やっと着いたあ!」
「まだよ、まろ〜ん。ここからじゃ全然海が見えないじゃない。」
「え〜っ!まだあるの〜っっ?
 長時間電車に揺られて、バスに揺られて、その上歩き・・・
 ったく、魔法少女なら空を飛んで行けるのにぃ〜・・・ぶつぶつ・・・」

#魔法少女でも、空を飛んで行けるとは限らないんですけどね。
#今回のさくらちゃんのように。

「何言ってんのよ!ここに来るって言ったのはまろんじゃない!」
「時期外れの海水浴場なんか、来るんじゃなかったなあ。
 お店なんかも半分以上閉まっちゃってるじゃない・・・ぶつぶつ・・・」
「ここに、悪魔がいるかもしれないからって・・・」
「あ〜っ!その上、怪盗としての収入ゼロなのに、
 自分のお金でこんな遠くまで・・・ぶつぶつ・・・」
「ま〜ろ〜ん〜っ!!」(怒)

#まろんが使ってるお金は親からの仕送りのはず・・・
#ってことは、悪魔が稼いだお金になるのかな?
#まあ、この時のジャンヌは魔王のために仕事してるようなもんだから、
#ジャンヌのお仕事に悪魔が出資するのも当然か。(^^;

「わかったわかった・・・でも、少し休ませてよ。
 せっかく来たんだから、ちょっと観光もしたいし。」
「んもう、しょうがないわねえ。」

バスから降りてあたりを見回すまろん。
時期外れなので多くのお店が閉まっている中、
大波を見に来る野次馬を当て込んで急きょ開けたらしいお店もあります。

「あっ!かわいい小物を売ってるお店がある!」

まろんはジャンヌのお仕事は後回しにして、まだ明るいうちに観光を
済ませてしまおうと、大荒れの海も見に行かずに開いているお店を回るのでした。


★海水浴場 砂浜 夕暮れ時

「やっと野次馬もおらんようなったな。」
「大波が収まってしまったからですわ。」
「でも、まだクロウカードの気配はするよ。」

昼間の大荒れが嘘のように静まり返り、夕焼けの赤い光に照らし出された海。
同じく赤く色付いた砂浜を、封印の杖を手に歩くさくらちゃんと、
夕焼けの海をバックにさくらちゃん撮影にいそしむ知世ちゃん。
まだ明るいので、念の為ケロちゃんは知世ちゃんのフードの中で
ぬいぐるみのふりをしています。

「それにしても・・・夕焼けの海をバックにしたさくらちゃん・・・
 なんて美しいのでしょう・・・ああっ、めまいが・・・」
「と、知世ちゃん・・・(汗)」
「臨海学校の時はビデオを持って来れなかったですから、
 その分撮りまくらなくては!」
「はうぅぅ〜。(泣)」

大波が相手とあって、今回さくらちゃんが着せられたのは
体にぴったりフィットしたウェットスーツタイプのバトルコスチューム。
胴体を覆う部分はピンク色だが手足を覆う部分が肌色なので、
少し遠くから見ると水着に見えてしまう。

「なんや、えらい寒そうなコスチュームやな。」
「ううん、全然寒くないよ。・・・ちょっと恥ずかしいけど・・・」(真っ赤)
「さくらちゃんのためですもの。防水・防寒は完璧、真冬の海でも泳げますわ。」
「そ、そりゃまたすごい服やなあ。知世もなかなかやるやないか。(汗)」

「はうぅ・・・だ、だんだん暗くなってきたよう。」
「ほら!さくらちゃんあの洞窟!わたくし達がきもだめしをした洞窟ですわ。」
「ほえ〜っ!」

さくらちゃん達がいる砂浜から少し離れた岩場を指差す知世ちゃん。
岩場の絶壁に、洞窟が黒々とした口をぽっかりと開けていました。

「あそこにイレイズさんがいらっしゃったんですわね。」
「う、うん・・・」
「そん時、わいはおらへんかったからようわからんのやけど、
 どうやってイレイズを封印したんや?」
「わたくしも、その時のことは憶えておりませんわ。」
「知世ちゃんも、みんな消えちゃって・・・李君にはげましてもらって・・・」

イレイズを封印した時のことを思い出すさくらちゃん。
泣いてしまった時、小狼にはげましてもらって、アドバイスもされて・・・

「・・・そういえば、ここに来ることを李君に伝えなかったな・・・」
「小僧はさくらのライバルやで!わざわざ教えてやらんでもええ!」
「う、うん・・・」

それでも、一抹の寂しさを感じるさくらちゃん。
そして、だんだん暗くなっていく周囲におびえながらも、
クロウカードの気配を追うのでした。


★海水浴場 堤防の上 同時刻

「んもう、まろんがあっちこっち観光なんてしてるから
 こんなに遅くなっちゃったじゃな〜い。」
「フィンだって、来るのをしぶってた割には楽しんでたみたいじゃん。
 それに、怪盗の出番は夜よね、夜。」

一通りお店を回って、お土産を買ったり夕飯を食べたりしていたまろん。
ようやく海が見える堤防の上にやって来た時には、
すっかり日が暮れかけていました。

「急に旅行に行ったなんて都が知ったら、
 『なんで誘ってくれなかったのよ!』なんて怒るだろうなあ。
 都にもおみやげ買って来たから、これで許してもらおっと。」

まろんは大きな紙袋に、買い込んだグッズやらおみやげやらを
入れてうんせうんせと持ち歩いています。

「お、重い・・・車が欲しいなあ・・・
 ねえフィン、せめて荷物持ちくらいやってくんない?」
「な、何言ってんのよ!そんな重い物、私に持てるわけないじゃない!」
「はあ・・・魔法少女のお付きの小動物なら、
 もうちょっと役に立ってくれるものなんだけどなあ・・・」
「私は天使!動物なんかじゃないのっ!」

#同じ魔法少女のお付きの小動物でも、
#ケロちゃんだとほとんど役に立たないんですけどね。
#さくらちゃんを持ち上げられるから、力はそれなりにあるんだが。

「あ〜っ、もう、やめやめ!荷物はこの辺に置いといて・・・と。
 いよいよジャンヌのお仕事開始!」
「やっとやる気になったのね、まろん。」
「う〜ん、でも、『大波の美しさ、頂戴に参上します』なんて、
 さすがに予告状を出すもんじゃないわよねえ。
 第一、誰に出せばいいのかわかんないし。」
「なによ、せっかくやる気になったと思ったら・・・
 でも、やる気になった所で悪いんだけどね、まろ〜ん?」

堤防の内側に荷物を置き、身軽になった所でようやく
真面目に悪魔探索を始めようと気合いを入れるまろん。

「フィンは観光なんかしてちゃ駄目で、誰が取り憑かれてるのか
 調べてないといけなかったんじゃないの?」
「だって・・・悪魔の気配が全然しないんだもん。
 ・・・それより、まろ〜ん・・・」
「とにかく、本当に悪魔の仕業なのか、
 悪魔の仕業なら誰が取り憑かれているのか調べないと。」
「・・・だから、まろんってば!・・・大波はどこなの?」
「え?あら?あららら?」

堤防の上まで登って見渡せば、お昼のニュースでやっていた大波は
いったいどこに消えたのかと思うような静寂の海が広がっています。

「んもう、これじゃ何しにこんな遠くまで来たのかわかんないじゃない!」
「ま、まあいいじゃないのフィン。悪魔のせいじゃなければその方が。」
「あ〜っ!まろん、最初から観光旅行のつもりだったわね〜っ!」
「ちょっと待って、フィン。あんな所に子供が・・・?」
「ごまかさないで!」
「あ、あの子、ひょっとしてすっぱだかなんじゃ?」
「ええっ?!」

思わず堤防の影に隠れてしまうまろん。
堤防の下、砂浜を歩いている二つの小さな影。
まろんのいる堤防の上からでは、さくらちゃんの着ているウエットスーツの
手足の肌色の部分はもちろん、体のピンク色の部分も夕焼けの赤い光に
溶けてしまい、すっぽんぽんの女の子を同じくらいの年の女の子が
ビデオ撮影しているように見えてしまうのでした。


★海水浴場 砂浜

「う〜ん、クロウカードの気配はするんだけど・・・」
「どうやら、沖の方におるようやな。」
「それでは、船をお借りした方がよろしいでしょうか?」
「ちょっと待って、知世ちゃん。だんだん気配が大きくなってきたみたい。
 こっちに近づいているのかな?」

海の方に向いてクロウカードの気配に集中するさくらちゃん。
その夕日に照らし出されたりりしい横顔を撮影している知世ちゃんは、
フレームの中の風景がさっきまでと少し違うことに気付きます。

「あら?波打ち際が・・・さっきよりずいぶん後退したような・・・」
「ほえ?」

さくらちゃんが足元を見ると、黒々と水に濡れた砂の部分がどんどん広がり、
見る見る潮が引いて行く様が見て取れます。

・・・ゴオオォォォォ・・・

「なんの音や?海鳴りかぁ?」
「!さ、さくらちゃん!あ、あれは・・・!!」

ビデオカメラから目を離し海の方を見た知世ちゃんは、
水平線に沈みかけている太陽の沈む速度が、目に見えて速くなるのを目撃します。
いや、太陽の沈む速度が速くなったのではなく、
海が盛り上がり太陽を覆い隠していくのを。

「つ、津波や〜っ!」
「ほえ〜っ!!」

◆アイキャッチ入りま〜す◆

(1/4の内容はここまでです)

 では、その2へと続きます。

--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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