奴隷のつぶやき



 どのような出会いであってもSとMが出会い、主従関係を結び、真の奴隷へと育てていく調教の課程で、
けしてご主人様には伝えられない奴隷のつぶやきがいっぱい潜んでいます。

「たとえ何があろうともご主人様にお仕えしていく気持ちが揺らぐことなんて絶対にあり得ません」
ご主人様にとって、言葉にさせるのはとても簡単なことですが、奴隷の心の底に刻みつけるのはとても難
しい作業です。

奴隷にとって、この気持ちを深めていくということは、ご主人様の求める「服従」の形を探し求める旅でもあ
るのです。

恥ずかしくてなかなか素直に従えない命令。
今度こそと思っているのにまたお仕置き。

可愛いじゃないですか。(ご主人様にとってはね)

でも、そんなとき奴隷は心の中でそっとつぶやいているのです。

「いつまでたっても上手にできないなんて奴隷として最低だわ。」
「こんな奴隷ではご主人様に捨てられてしまうかもしれない。」

けしてご主人様に対しての不安ではありません。
奴隷にとって服従するということはご主人様への最高の愛情表現ですから、それに対するもどかしさは自分
自身に突き刺す剣に変わるのです。

羞恥は羞恥として、苦痛は苦痛として、あるがままを受け入れ、けして慣れることや上手にできることは必要
ないと、自分なりの表現で奴隷に教えることがご主人様の役目であり、素直に従えることより素直に従おうと
する気持ちを持ち、上手になることより一所懸命につくそうとする態度をいつまでも忘れないでいることが奴隷
の勤めなのです。

奴隷が感情を持つなんて許されることではないという人は別として、ほんとうの「支配と服従」を志すご主人様
には「奴隷のつぶやき」を感じ取れる力がなければならないのです。

その後の処方箋は努力と経験、ということにしておきましょう。




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