時間はなぜ進むのか


 時間はなぜ進み、逆戻りしないのか?

 これは「水はなぜ0℃で凍り、100℃で蒸発するのか」という質問に似ているような気がする。つまり、そもそも水が凍る温度を0℃とし、蒸発する温度を100℃と定義したのであって、なぜという言うのは話が逆。「進む」というのは時間の方向の定義ではないか?

 さらに言えば、秩序あるものは時間とともに乱雑になるというのを「エントロピーは増大する」といかめしく言うが、エントロピーが増大する方向こそが(人が意識するところの)時間という言葉の定義なのではないか。というのは、人間の意識というのはエントロピーの増大の上に成り立つもので、時間は本来どちらに辿ってもいいのだが人間にはエントロピー増大の方向しか意識できないということではないか。

 数ある物理法則の中で、時間の向きにかかわるのがこの法則だけというのも、そんな気にさせる。


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