罪なテロップ

 最近のテレビのテロップはうっとうしいものが多い。

 誤訳もある。子供の頃に雑誌で雪男のことをビッグフットと呼ぶことを学んでいたのだが、それを知らないのか、最近テレビのワイドショーで「大きな足跡」とか訳していたのを見て、楽しませてもらった。しばらく待っていたが、訂正はなかった。

 これは他愛もない例だが、政治家の発言を編集したテロップというのは、見る方も気を付けなければいけない。最近の例では「選挙のためなら何でもする、誰とでも組む・・・こんな無責任な勢力に負けるわけにはいかない」という安倍首相の発言を「安倍首相『選挙のためなら何でもする』」と題して日テレが報道したという。

 「マスコミは発言をいいように切り取って世論を煽る」という批判を聞くが、端的な例だ。このような例は結構あるようで、マスコミが問題発言をみつけようと焦っているのか、よほど理解力がないのか。

 笑い事ではない。戦後70年の関連書を読む中で、日本が破滅の道に陥ったのは、マスコミに煽られた世論の圧力も大きな要因だったとも言われている。半藤一利氏の「B面昭和史」は庶民から見た貴重な記録だが、戦争に煽られていく庶民感情というものがリアルに見えてくる。

 そうした世相に照らすと、単に「原発は危ない」「戦争は嫌だ」といって真剣な議論を封じてしまう論調も危うさを感じる。常に、マスコミの誘導に惑わされず、一面しか見ていないのではないかとか、現実はどうなのかと疑ってかからなければ。

(2016.4.20)


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