サイフは要らないって?

 サイフを投げ捨てるauのCMが不評で、早々に姿を消した。

 大事にすべきサイフを街中で次々と、しかも嬉々として放棄するのは不快感を呼び、私も同感だが、私の感じ方はちょっと違う。

 スマホやPCが普及する前からコンピュータソフトの開発を仕事としてきた者として、電子データがいかに はかなく危ういものか思い知らされてきた。かつて鉄腕アトムなどに出てきたような、四角の枠に丸が二つ並んだコンピュータの頃からつきあってきたが(まさに「マンガのような」)、さんざん苦労して作ったプログラムやデータが、ホストコンピュータの予期せぬダウンによって一瞬に消え、それまでの労力も水の泡。電子データとはそういうものだと思っているから、現金を完全放棄、それもニコニコしながらドブに捨てるような真似は狂気の沙汰だ。(高木先生の口癖ではないが)バカじゃなかろかと思った。

 3.11の地震は出張先で遭遇し3日足止めされたのだが、そのときも電子マネーやクレジットカードは全く無力だった。

 最近、家内につきあって見たドラマで、職場のPCで作った提案書を陰湿な先輩に削除された主人公が、試し刷りが残っていないかとゴミ集積所を必死にあさるというシーンがあったが、ばからしくて見ていられなかった。元々PCを信用していないから、常にバックアップはとり、重要なものは紙にもしておくというのは常識。(「素人か」とあきれたが、素人という設定のドラマだからいいのか)

 電子データは便利だが、いつでも見れると油断してはいけない。

 ところで、消費税が中途半端な8%になって、支払いが1円単位になることが多くなった。なるべく小銭はためこまないように端数に合わせて払うようにしているのだが、もたついて後ろの客に申し訳なく思うことも多い、それならいっそ、サイフの中の小銭を全てジャラジャラとレジに入れ、レジの方で自動的に最適に選り分けて小銭を減らしてくれるような仕組みを思いついた。なかなか名案だと思ったが、よく考えると「そんなことより電子マネーを使えば済むことだ」と言われそうだ。  

(2014.5.25)


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