ペンは剣より

 百田尚樹氏の著書「大放言」を読んだが、ある意味期待外れだった。 過激な議論を期待したのだが、極めてまっとうな話と感じた。これで炎上する社会というものが、むしろ興味深い。

 話は変わるが、マジックは見た目の現象と、実際にやっていることの2面性が面白い。推理小説も、事件とトリックの2面性の面白さが通じるところがある。

 「大放言」では、マスコミに取り上げられた氏の「暴言」と、元々の発言の真意を解説している。長い論調の中のごく一部を切り取って、センセーショナルな発言に仕立て上げた経緯を見ると、まさにマジックのような2面性を感じる。

 それにしても、そうして暴言報道で稼ぐ「ジャーナリズム」は、ほどほどにしないと信頼を失い、マスコミの自滅につながる。それこそ開戦前夜と同じ暗黒時代を招くのではないか。

 「ペンは剣より強し」というと、邪悪な武力に対抗する正義という印象を持つが、剣が凶器になることを思えば、ペンは剣より強い凶器になるということも意味している。まさに「ペンは剣より怖し」

(2015.9.18)


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