現代お産事情 2

 病院での管理お産への反発から、自宅出産が見直されている。自宅出産に取り組む助産婦さんをテレビで紹介していたが、よく見ればお産が楽な経産婦ばかり。「何だ、ずるい」という批判もあるが、考えてみれば初めてのお産は、不安感から、設備の完備した病院で産み、そのときの不満から次は自宅出産を選ぶ・・・ということかもしれない。

 お産は本来自然の営みだから、何も構えることはないはずだが、文明化で体力がなまり、かつ産婦の高年齢化もあるので、万全の体制を過保護と批判はできない。

 お産の立ち会いというのは、一つの人生の始まりに立ち会うことでもあり、「一生」なるもののベールをはぐようなところがある。私も父親の特権として(義務として?)ヤジウマ半分で長男の誕生に立ち会ったが、さぞ感動的だろうという予想や厳粛なイメージとは裏腹に、拍子抜けするほどに淡々としていることに反って感動したのを覚えている。お産を中心に据えたテレビドラマがあったが、妙な話をくっつけて原作の良さを殺していた。実際の「自然体」の持つインパクトは、一見の価値がある。

 出産では心理的な側面も大きく、産婦のリラックスのために、はやりのアロマテラピーとか癒し術も工夫され、フリースタイルというのもある。フリースタイルといえばスポーティーでかっこがいいが、好きな姿勢でお産しなさいということ。それはそれで、介助しやすい姿勢を強要するよりは助産婦の経験と技量が必要だ。

 また、産婦にはエアロビクスならぬマタニティビクスに、マタニティヨガ、マタニティスイミングにマタニティフラダンス。フラダンスというと、腰蓑を激しく振らせるアップテンポな踊りを思い浮かべて流産しないのかといらぬ心配をする人もいるが、もちろんスローテンポのゆったりした踊りで、気分転換と運動不足解消になるという。

 こうした最近のブームをいち早く標榜する産院もあるが、実態は熟知したスタッフが不足していたりするから、要注意だ。(今回、オチはありません)

(2000.3.12)


HAのHP