マスク「解放」

 長らく続いたマスク生活がやっと緩和。

 晴れ晴れと出勤したものの、通勤電車ではマスクし、会社でもマスク。そもそも外を歩く人もマスクをはずしている方が珍しい。

 つい「マスク解禁」と言ってしまいがちだが、「解禁」というのは禁じられていたものが解かれるのだから、「マスクを着けないことが解禁」と言うべきだ。先日、街中の食堂の看板で「オードブル予約中」というのを見かけたが、「予約受付中」と言うべきで、「予約中」だと、その店がオードブルが作れずに他の店に依頼していることになる。「マスク解禁」共々、「言いたいことは分かるけど」というやつだ。

 マスクの方も、強制ではなくて要請なので、「解禁」というのは正しくないが、要請なのにしっかりマスクして今でも慎重な日本人の生真面目さが面白い。

 著名人に関する裏話や人物評が面白いというので「安倍晋三回顧録」を読んでいるが、コロナ騒ぎの初動で「要請」となった事情も納得。先が見えない緊急事態に対して強権発動しマスクを強制すべきところ、責任を問われることを恐れる役人の抵抗ぶりが分かる。日本の官僚の優秀さが言われるが、平時には有効な優等生ぶりは、非常事態には役に立たないどころかブレーキになるのだとつくづく思う。

 社会活動の自粛を強制できない法体系に苦慮する中、小池都知事の「ロックダウン」発言などのスタンドプレイが、かえって緊急事態宣言を有効にする効果があったという。コロナの3年間も、あのとき裏ではこんなことがあった、という歴史になりつつある。

 「解禁」直後はマスクなしの人が少ないので、見かけると、少数派としての連帯感というか親近感を感じた。1週間経ってだいぶ増えてきたので、逆に連帯感は薄れてきた。

 (2023.3.23)


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