ささやかな心づかい

その1 ディズニーランドの風船

 東京ディズニーランドの従業員教育には感心させられることが多い。園内で買った風船が枝に当たって割れた際、スタッフに呼び止められた。てっきり咎められるのかと思ったら、割れた風船を交換してくれるのだと説明された。

 意地悪く解釈すれば、訴訟王国の本国アメリカで「風船が割れたのは園内の枝が悪い」と訴えられてもめることがないように作られたマニュアルかもしれないが、子供をがっかりさせない細やかな心づかいではある。

その2 ハンバーガーの電話代

 町内のハンバーガー店Mをひいきにしている。(ちなみに、値引き攻勢で自分のクビをしめた「M」ではなく、デフレに抗して品質本意を喧伝した「M」の方である) 以前、電話で事前に注文してから受け取りに行ったら、わざわざ電話代を返してくれた。それ以降、何だか心苦しくて電話注文を控え、出向いてから注文している。

その3 地下鉄の切符

 キセルではないのだが、電車の切符をなくしたために同行の友人の定期券で自動改札を出ようとしたら拒絶された、という話を聞いたことがある。同じ定期で連続して出場することはできないらしい。自動改札はあなどれない。

 都営O線で入場してから、出てきたばかりの建物にカサを忘れたことに気付き、取りに戻ろうとしたら自動改札にひっかかった。一旦入場した以上は、出るのに入場料金をとられるのかと覚悟して駅員に話したところ、「忘れ物をとったらすぐにここに戻るのでしょう」と、一時出場を認めてくれた。(これは制度上なのか、駅員の一存か?) ありがたくカサを取りに戻り、(既に入場したことになっている乗車券を持って)改札に舞い戻ってみると、駅員が交替していてキョトンとしていたので、ちょっとあわてた。

 ちなみに東京圏はほとんどの電車が共通のプリペイドカードである「パスネット」が使えるようになり、かまわず改札を通り自分がどの会社の電車に乗っているかも知らぬまま乗継いで、目的地に着いていることがある。このシステムこそ最大の心づかいだろう。わが道を行く大手J社だけが通用しないのが、ほんとに「困ったちゃん」だが。 (2002.9.8)


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