トランプ関税と認知症

 トランプ大統領が打ち出した各国への高い関税率の根拠が何なのか話題となった。 どうやら「スマホ認知症」の話と関係がありそうだ。

 スマホ認知症というのは、あまりにスマホに依存して、 情報過多の中で自分でものを考えなくなることで認知機能が衰えるというものだ。

 「1日何時間以上スマホを使うと危険だ」という診断テストがあるが、 私には無縁だ。出張中に東日本大震災にあって3日めまで帰宅できなかったが、 そのとき唯一の命綱としてスマホを温存した経験もあり、それ以来 普段はほとんどスマホの電源を切っているからだ。

 スマホは誰もが持っているという風潮も気に入らず、日常の支払いは全て現金だし、 出歩くときもネットに頼らない。 コンピュータシミュレーションを生業にする者として、 電子データのもろさやいい加減さを身に染みているせいもある。

 我ながら、いい加減にそういう考えを改めようかとも思うが、スマホ依存の弊害を聞くと、 案外そういう頑固なスタイルもよかったのではないかと思えてきた。

 いわく、支払を電子的にピッと済ませるより、釣り銭が少なくなるように 手持ちの小銭で調整するのは頭の体操になる。 また、ナビなしで知らない町で道に迷うことは、脳に適度な緊張を与える。

 トランプ大統領の関税率は、スマホかどうかともかく、AIに相談したのではないかという。

 AIは一見万能のようだが、どこまで考えを拡げるかの指示の仕方によって、稚拙な結果しか得られない。 ドナルドさんは貿易赤字を問題視し、その解消を目的とした。 しかし、本来は、金融資産や、海外からの投資、知的財産権による莫大な儲けといった ことも考慮すべきで、それを無視した単純な計算式をAIがもっともらしく答えてきて、 信じ込んだのではないかという。

 スマホ認知症と同じく、自分で考えることをしないこと、 そして何よりそのことに疑いを挟まないのが問題なのだろう。 だとすると単なる老害ではなく、若者も自省する必要がある。

 (2025.5.5)


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