文書改ざんのとばっちり

科学技術のシミュレーションを生業としており、六本木の某政府機関(シン・ゴジラにも出てきた)の仕事を長年やってきたが、今年は作業報告書のチェックがすごく厳しくなった。

シミュレーションのためのデータ整備が目的なので、精度は今後上げていくとして、まずは設定した条件通りの計算ができることが主眼であり、苦労してそこまではできたのだが、シミュレーション時間が仕様書で規定された現象時間に達してなかったことで不合格となった。

海外のプログラムを使う作業で、プログラムに手を加えることが不可であるため、その出来が悪いとユーザーとしては打つ手がない。そういった事情は勘案されなかった。今後は、技術者としては不本意ながら、内容は二の次で形式を最優先することになる。同業者も同じだろう。

シミュレーション内容より字面で評価する厳格さは、最近の文書改ざん問題の風当たりの影響で、役所側の保身傾向が強まったせいではないかとの勘ぐりも聞かれる。いわゆる役人根性で、規則に厳格なのはいい面もあるのだが、行き過ぎると社会が動かなくなるのではないかと心配だ。

ということを考えていたら、わがビルで長年営業してきた印刷屋さんが倒産した。聞くところによると、経営が苦しい中、財務省の関係の仕事が多かったのが、今度の財務省の不祥事が遠因で役所関係の仕事ができなくなったのが打撃だったという。

(2018.5.4)


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