「今少し時間と予算をいただければ」― NHKで94年4月から1年間放送されたアニメ「モンタナ・ジョーンズ」の中のニトロ博士の決まり文句だ。
今年も国の機関から受託した単年度(実質数ヶ月)の作業が終わり、 いつもながらこのセリフが頭に浮かんだ。
守秘義務のため仕事の成果は言えないが、 一般競争入札のため、作業の概要と作業環境、作業期間は公知のこと。 要は、客先の作業室のPCから、専用のプログラムMと関連ツールを使って シミュレーションを行うという仕事だ。
肝心のプログラムを動かすための環境ソフトが、 いざ作業開始という段で購入のための一般競争入札にかけられるという、 いじめのような手際の悪さ。
それでも国の仕事なので、当方の納期は延期されないという。
このプログラムMがクセモノで、 その不備は業界の常識ながら、 下手なことを言うと「業務を通じて得た知見をばらした」 と言われそうなので、差し控える。
次々投入したMがエラー終了していく様は、 ちょうど(これもNHKで再放送された)「坂の上の雲」の二〇三高地さながら。 (兵器の)質より(兵士の)量でカバーするしかなくて バタバタと倒れるシーンが連想され、暗澹となった。 幸い、こちらは死ぬことはなかった。
ある種研究的な色合いのある案件でもあったので、 結局作業仕様を減らすなどの配慮の末、 なんとか納品にこぎつけた。
こうした研究的な仕事は、消化不良で 「こう少しやれれば」と思いながら打ち止めとなることがままあり、 その度に冒頭のセリフを思い出してきた。
さて「モンタナ・ジョーンズ」では、主主人公の秘宝探しを横取りしようとするゼロ卿の手下であるニトロ博士が、 毎回様々なメカを繰り出しては失敗し、
Wikipediaによると、ニトロ博士の「弁解」は、 ゼロ卿の短期間・低予算という無理強いへの批判という解釈も載っていたが、 私に言わせれば、技術者のキンジとして言ってはいけないこと。
失敗と言えば、ロケットの打ち上げは失敗しても5回は許されるという。 失敗をおそれていては先に進めず、失敗から貴重なデータが得られる。 イーロン・マスクのスペースXもそうしてロケットを開発したそうだ。
規模は比較にならないが、それにしてもこっちは時間と予算がない。
(2025.3.23)