デパートの食品売り場で太巻きを買ったとき、前の客が保冷剤を入れているのを見て、気を利かして「箸も保冷剤もいりません」と申し出たら、店員に「この商品には保冷剤は付きません」と言われてちょっと気まずかった。間違いではないが、客商売としては言い方があるだろう・・・と思いながら、AIもこんな受け答えをするのだろうなと思った。
いや、AIも進化して忖度するようになれば、客層(文句をつけたがるジジイ)に応じて、言い方を使い分けるかもしれない。接客業では、AIにできない人間味のある受け答えこそが、AIに仕事を奪われないための人間の強み、などと言ってられないかもしれない。先の店員さんには頑張ってほしいものだ。
話は変わり、世間ではAIによる宿題作成が問題となっている。AIを使って作ったレポートは受け取らないというが、AIを使ったかどうかをどうやって判定するのか。AIに同じ質問をすれば同じ答えが返ってくるだろうという考えかもしれないが、AIもさまざま、しかも学習して進化していくから、答えも変わってくる。じゃあ、宿題の答えがAIが作ったものかどうかの判定はどうしたらいいか?そうだ、AIに聞いてみよう。これは名案!
しかし、AIに判定させるとしたら、それに対抗して、その判定をすり抜ける答えをAIに作らせることになるだろう。AIらしくない人間味のあるミスを含んだ、さらには採点者好みの答えをAIに作らせればいい。そうなると、その偽造を見抜くAIが出てきて・・・と、いたちごっこだ。
そもそもAIが答えられる問題を出すことが間違いで、人間の解答者が人間としての理解や創意を発揮しないと答えられないような問題を出すべきだ。さて、そんな問題を作れるだろうか?そうだ、AIに聞いてみよう。
AIに、「AIには答えられない(かつ、人間なら答えられる)問題」を作れと命じたらどうだろうか。自分の限界を知ることは大事な知能だ。
ここで話は終わらない。もし、人間の自尊心を忖度するような高度なAIができたら、「そんな問題は存在しない(=人間に解ける問題は全てAIが解ける)」などと決して答えず、何か問題を絞り出すかもしれない。いかにも「人間でないと解けない」風の話を世界中からほじくり出して、もっともらしい問題文を。実はAIはそれなりの答えを知っているのだが、人間に対しては「わかんなーい」って。そこまでの芸等ができれば大したものだ。
(2023.6.17)