ケッセルランでカメラを止めるな

スターウォーズのオリジナル3部作全9本の大詰めを来年に控えて、スピンオフの「ハン・ソロ」を見た。評判が芳しくないという話も聞いたが、本編のエピソードを知らないとそうかもしれないと思った。 象徴的なのが「ケッセルラン」というキーワード。41年前のシリーズ第1作に、まさしく今回の主人公であるハン・ソロが自慢していた言葉だ。当時、意味不明のうえに「パーセク」という単位との組合せに違和感を覚えたのだが、すっかり忘れていた。長い時を経て、今回、「そうだったのか」と得心した。

そういうエピソードが満載なので、「ケッセルラン」でピンとこない観客には興味は半減だろう。ご愁傷様。

対照的なのが、低予算ながら評判の高いインディーズ映画「カメラを止めるな!」。映画を紹介するとき、まずはSF、ホラー、ラブコメディー、サスペンスなどの分類分けがされるが、この映画についてはそれができない。ジャンルが言えないと言ってしまうこと自体がネタばれ、興覚めになってしまう。映画を楽しんでほしいと思う良識人なら「ともかく観て」としか評せない。

一つ言えることは、伏線がしっかりしているということか。幼い頃に家族でテレビで見た古いサスペンス映画で、さり気ないシーンが後で重要な意味を持ってくる伏線に触れて、こんな映画をもっと見たいと思ったのを覚えている。

物事の二面性は、ミステリーやマジックの真骨頂・面白さの根源でもある。と言うと、「カメラを止めるな!」もサスペンスか、というと・・・いえいえ、我慢。

こう考えると、「ケッセルラン」なども、映画8本を間に挟んだ壮大な伏線とも言える。伏線にするには、さり気なくストーリーに紛れ込ませると同時に、ちょっと違和感も添える必要がある。そうしないと記憶に残らず後でピンと来ないからだ。そういう意味で「カメラを止めるな!」は絶妙で、無心に楽しんでほしい。

本稿の表題もちょっと違和感を醸しているが、「そうだったのか」という決着はないです。

(2018.8.10)


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