故旧博物院

 朝は朝粥の屋台が街角にでる。大きなお鍋をいくつも積んだリヤカーのようなもので、道ばたで商売している。家に持って帰って食べる人、通勤途中というかっこうの人は職場で食べるのだろうか。カップヌードルの入れ物のような発泡スチロールの大きなカップにお粥をよそって、胡椒をかけ、油条の切ったものとなんだかわからないけどオレンジ色のものをふりかけて、蓋をしっかりするとティッシュとスプーンと一緒にビニール袋にいれてくれる。このお持ち帰り用の赤と透明な縦縞が入った小さなビニール袋もいたるところで見かける。
 ホテルの近くに出ていた屋台のお粥は9種類。痩肉粥と芋頭粥を買った。芋頭粥は里芋の切ったものと肉も入っていた。痩肉粥はもちろん肉入りだが何の肉なのだろうか。
 さて今日は故宮博物院へと行く。先日の動物園に行った木柵線はゆりかもめみたいなモノレール風だったが、淡水線は通勤電車風。剣潭からバスがあるはずなので下車する。しかしいくら待ってもバスが来ない。かなり交通量の多い駅前通りを、右見て左見てかなり強引に次々横断していく人々の様子を見ているのもなかなかおもしろいが、20分たってもバスが来ないので、あきらめてタクシーに乗った。博物院までメーターは95元だったが、値上げをして更に20元よけいに払う必要があった。
 中国の人は古代からさまざまな生き物は事象に、豊かさや不老長寿、立身出世、子孫繁栄、などといった願いをこめて美術品にあらわしてきた。これを「吉祥」というが、たとえば古代から、蓮と水禽と魚は豊かさを象徴してきた。コウモリは明や清の時代のものによく見られ、蝠が福と発音が同じであることから幸福を象徴する。長寿・富貴・健康・徳を修める・天寿を全うするという、中国人が理想とする5つの理想的な幸福の象徴として5頭飛んでいる図が多い。また紅と洪の発音が同じことから赤い蝙蝠は洪福、すなわち大きな幸福を意味する。ということで、中国では建物の飾り、絵、陶器、衣裳の刺繍などさまざまなところでコウモリ模様を見ることができ、ここ故旧博物院は、事前に調べたところではコウモリデザインの宝庫のはずだ。
 博物院は日本人が多い。いたるところで日本語が聞こえる。またジャージーを着た中学生グループもたくさん来ている。目的はコウモリデザインだが、なにしろ膨大な展示品からさがしていくのでたいへんだ。日本で清朝の展示があったときに行った方が効率よくコウモリデザインを探せるかもしれない。カタログも山ほどあるがコウモリグッズが一冊に揃っている物はなく、結局買わなかった。ミュージーアムショップにはコウモリ模様の壷があったが、日本円にして一万円以上なので買わなかった。かわりに一面にコウモリが掘ってある飾り皿を買った。
博物院でお茶 4階の喫茶店で中国茶二種類とパオズを食べる。混んでいてテーブルは常に満席状態だ。ここでは蓋つきの茶碗に葉を入れて、蓋をずらして飲む方式だった。高いけれど香りがすばらしくておいしい。 
 博物院の目の前には小さな庭がある。芝生と休憩所があるくらいのなんの変哲のない庭園だが、ウェディングドレスのカップルが写真を撮っていた。野外の気に入った景色をバックに、結婚写真を撮るのが、台湾でははやっているらしい。まるでモデルのようなポーズをとった写真である。
 帰りは博物院の目の前からバスが出ている。30元と安かったが台北までは結構遠かった。
 博物院の売店では今ひとつだったが、台湾工芸館にはコウモリデザインのおみやげがたくさんあったので、山ほど買い込んだ。クレジットカードで支払いをすると、ちゃんとカードの裏の筆跡と照合している。英語圏の海外では漢字でサインしても照合はしないし、アメリカでは一度拒否されたこともある。ここは漢字文化圏だから、当然漢字の筆跡もわかるのかと、改めて思った。

 おみやげにカラスミを買いにいく。いちばん小さいカラスミは800元だから結構な値段である。帰国してから食べてみたが、軽くあぶって薄切りの大根で挟んで食べるとおいしい。 2.28紀念公園の中を夕方抜けると、小雨が降っているのにアブラコウモリくらいの大きさの小コウモリが二頭飛んだ。バットディテクターを持ってきていたのに、あいにくホテルに置いてきてしまった。 

 

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