エアロゲルをゲット!
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ひょんな事から、SF作家の笹本氏からエアロゲルのサンプルをいただくことができた!
氏がNASAの展示室で遭遇し、「空中に固定化されたタバコの煙」と形容するそれは、「固体窒素」、「フラーレン」と並びワシの関心度の高いマテリアルのひとつなのである!
いったい、エアロゲルという物質とはなんなのだろうか? さっそくこの物質の特性を探ってみよう!
エアロゲル(Aerogel)とは!? 世の中、何が起こるかわからない。
とんと昔ごく最近、SF作家の笹本氏が、○▼と□★した折に、偶然話題がエアロゲルになったのだそうな。 ところが、そのときなんと○▼の担当者が偶然にもその端切れを持っていて、サンプルとして貰うことができたのだそうである。
さらに!
以前、このHomePageのBBSでワシが「エアロゲル」について触れたことがあったが、それを覚えていた氏がそのサンプルを提供して下さるとの事!
うはぁ!なんという幸運というか偶然!? NASAまで行かなければ見ること叶わずという最新マテリアルを、なんとワシ自ら弄ぶことができるとは!
という訳で、今回は「_年の科学」ばりの「見て切って実験する」立体レポートを決行した!
このエアロゲルとは、端的に言ってしまえば
シリカ(SiO2)のスポンジ状アモルファス物質 ということになるようだ。言いかえれば、ものすごくスカスカなガラスということになる。
これが発明されたのは1930年代らしい。非常に密度の小さい(50kg〜200kg/m3)それは、宇宙用材料や断熱材料として、 さまざまな方面に応用されようとしている。参考になりそうなリンクを下記にしめそう。
- シリカエアロゲルの構造・物性の制御
- 超臨界流体による乾燥:気化蒸発を伴わない乾燥
- 技術開発の話題(海外編)
- 超臨界流体とは
- 彗星から放出される粒子サンプルを採取
- しし座流星標本収集器ペイロードが発見されました
- STARDUST 計画とは?
このように非常に特殊な特性・製法により作成されるエアロゲル、実際どのようなものなのであろうか?
さっそく見てみよう 犬は新しいものを発見すると先ず匂いを嗅ぐ。猫はとりあえず手でちょっかいを出してみる。
人間が新しいものと遭遇したとき、真っ先に取る行動とは「観察」である。これは、未確認物体や幽霊との遭遇話のときに頻発する
見たのか?
という発言からも明かだ。 逆に考えると、実は犬や猫にとっての未確認物体とは、変な匂いであったり、おかしな感触の物体なのかもしれないが。
・・・・ということで、ワシは人類の基本に忠実にこの新しいマテリアルを「肉眼で観察」してみた。 笹本氏にうながされてケースを開けてみると・・・
あれ?どこにそれが・・・・あぁ!? これか!
なんか、ケースの中にしろい「もや」のようなものがあり、それが「エアロゲル」だったのである!
←これがエアロゲルである。若干白っぽく、向こうが屈折して見えることを除けば、そこに存在していることすら気が付き難いという物質なのだ。
というのは、表面での反射がものすごく少ないためであり、「水中の寒天」を空気中でみているという感じである。
今度はさわってみよう ついで人間が取る行動とは、「対象物に触ってみる」ということだろう。ほら、2001年でもやってたし。
そういう訳で、指でこの「エアロゲル」を触ってみた。すると・・・
プヨプヨしている
という感じである。めちゃくちゃ軽いゼリーのようだ。まぁゼリーもゲルなので、ゲル一族はすべからくこのような感触を特徴とする ものなのかもしれない。
その重さたるや、4cm角・厚さ6mmぐらいのものでわずか0.4g。密度換算すると、1立米あたり40kgぐらいしかない。
そのように軽い物質であるので、ガラスと同じとはいえ非常にもろい。ピンセットでうっかり力をかけると、ぽろっと崩れてしまうのだ。触るのにもテクが必要なのである。
火であぶってみよう 人間がケモノの類から自らを分かち人類たらしめたテクノロジ−とは、「火」であることは間違いなかろう。
聞けば、このエアロゲルは宇宙開発ではよく使用される物質で、これもISSでの彗星から発する微細なダスト回収のために使用されるものの あまりだとか。このエアロゲルは、宇宙の過酷な寒暖さにも耐えうる物質であるという。ということは、
エアロゲルって、めちゃくちゃ火に強い?
では、さっそくトライしてみよう!
ライターの炎で炙ってみると・・・
直接炎が当たるところは赤熱し、熱がかかったところは収縮するが、炎からはずすと元の色に戻る。
ただし収縮した部分は戻らない。
アルコールをかけてみよう さて、このほかにもいろいろ試す事はあるのだが、笹本氏の話だと、「アルコールをかけると白くなる」らしい。
うはぁ? 白くなるってどーいうこと?解けてしまうのか?SiO2なのに!?
疑問に思ったらまずは実験である。こういう場合、いろいろ考えても実験に勝るものはない。物理世界は正直なのだ。人間の想像を超えた世界がそこには展開するのである!
んで早速アルコールをかけてみると・・・
←アルコールがかかると、シュワシュワと泡が出て白くなる!
本当だ、確かに白くなる・・・でもなぜだ?
アルコールが乾燥すると、少し硬いシリカの塊が残る。
では、水ならどうだろう? おろ、水でははじかれてなんともないぞ。笹本氏の話では、表面にCH基による終端を施してあるので、耐水性は向上しているとか。なるほどお。
ということは、どういうことなのだろうか?
これは、次のように考えられるだろう。
のではないだろうか。すると、これはアルコールだけでなく、シンナーや洗剤溶液でも同様な結果になるだろう。
- アルコールの高い濡れ性により、アルコール液がエアロゲルに浸透する。
- このとき、アルコール液と空気の界面に存在する「表面張力」が、エアロゲルの構造にかかる。
- エアロゲルの構造がつぶれ、中に含まれている気体などが泡となって出る。
- 同時にエアロゲルが極端に歪むことで、雪の結晶のように光を乱反射し、白く見える。
さっそくやってみると・・・・・
思った通りだ!
シンナー(レベルうすめ液)でも洗剤でも白く縮むぞ! 推察通りだ! やったぁ、これで近代科学まで到達したぞ!
最後にレーザーを照射してみよう さぁ、最後にワシの持てる最新のテクノロジーであるところのレーザー光線を照射してみよう!
このレーザーは秋月で販売中(先週行ったらまた売ってた)のレーザーポインタによるものである。さて、どんな感じになるのだろう?
←水平方向からレーザーを照射すると・・・
ほとんど屈折せずに光が透過する。若干シリカにより光線が散乱され、くっきりとビームの跡がのこる。
では、本日のまとめ |
さて、最新テクノロジーによるマテリアル・エアロゲルを文字通り焼いたり濡らしたりして実験した。
その感想としては、
細かい破片が見にくくて、実験後の机が気持ち悪い状態になる
のでした。うっかり吸いこんだらアスベスト症候群(肺がん)になりそうでもあり、ちょっと怖い。
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