愛光学園 建学の精神 (田中先生起草)


 愛光学園の設立母体は、聖ドミニコ修道会である。聖ドミニコ修道会は、清貧の托鉢説法僧・聖ドミニコによって13世紀に創設されたもので、厳しい学問探究とキリストの愛の精神とをその主柱としている。愛によって磨かれた徳性と光あふれる知性とは聖ドミニコの象徴であり、「愛光」の校名はここに由来する。

(学園の守護聖人・聖ドミニコ像)
(聖ドミニコ(右)と聖フランシスコ(左))


世界的教養人の育成

 愛光学園の誕生は、実質的には昭和28年4月1日であるが、形式的には、学校法人城西学園が、学校法人愛光学園と名称を変え、法人の理事や評議員の人名が変わっただけのことである。私立学校新設の至難な当時にあって、このようにすらすらとことが運んだのは、城西学園関係者のご好意に負うところが多いので、この点深く感謝しなければならない。
 学園創立にあたって、学園当局者がいちばん頭を悩ましたのは、学園の基本的性格をどうするかということであった。
 学園当局者は、第一に日本の社会が男子中等学校に最も強く期待しているものを充たすこと、第二に日本におけるミッション・スクールとしての誤らない姿勢をととのえること、この二つを基本的性格にしようと考えた。社会が男子中等学校に期待している第一のことは、一流の国立大学にも入学し得るような深い知性と、世界のどこへ出しても恥かしくないような高い徳性を涵養することであると考え、これをわれわれは世界的教養人という標語で要約した。
 その内容は第1回の「入学案内」にも記しているが、さらにヒルティに従ってその基本的資質を列挙すれば、
 @ 常に勤勉であること。
 A 魂の高貴なこと。
である。高貴であるためには、少くも、
 イ、心がまえとして常に最高をめざすこと。
 ロ、利己心・享楽心・流行心よりの超越。
を志すことが必要である。かくて日本の旧制高等学校、英国のパブリックスクール的徳性と知件を備えた生徒を育てあげることを第一の目標とした。もしこの一点にある程度の成果を収めるなら、中学・高等学校の存続困難な教育事情の中にあっても、社会はその存在を容認してくれるであろうと考えたのである。

ミッションスクールとしての性格

 この点については、入学案内に記したように、ミッションスクールとして期待せられる最低基準に止まろうと決心した。最低基準とは、
 1、唯物論的無神論を排除すること。
 2、有神論的世界観の基礎を培うこと。
 3、キリスト教への善意ある理解を深めること。
の三点である。
 さらに進んでキリスト教そのものを、学校の正規の課程に組み入れようとは考えなかった。元末キリスト教の提示する規範は、高邁かつ普遍・妥当性をもつもので、これを守ることの必要牲はキリスト教徒たると否とを問わない。「一般に文化の進歩か退歩かはキリストに近づいたかキリストより離れたかの問題であり、歴史の審判とはキリストよりの距離の測定に外ならない」というベルジヤエフのことばはわれらの信念である。そして、キリストの訓えに近づく最上の道が、キリスト教の信仰そのものであるというのもわれらの確信である。しかし、現在日本のミッション・スクールとしては、前記最低基準に止まることが正しい姿勢であるというのがわれらの信念である。その代り、もしこの最低基準にふれるという事態が発生したら、学園は自己の生命を賭しても戦わなければならぬと、覚悟しているのである。

実際の運営

 第一の知的・道徳的人物の育成に関して学園がとくに力を入れたこと、また今後も努力したいと思っていることは、教師に人を得るということである。教育機関の良否を決定するものは、一に教師、二に生徒、三に父母、四に教育地設である。その全部のよいことはもちろん望ましいことではあるが、もし全部にたいして配慮する力がないというときは、教師にたいする配慮に専念すべきであるということを、学園運営の基本的心がけとした。それには教師にたいして、物心両面の敬意を欠かないということが基本であると考えたのである。
 生徒については、頭もよく授業科も支払い得るという人を、松山市およぴ周辺小学校において、平均1クラス1人と想定して定員を定めた。当初各学年を2学級としたのもそのためであり、次いで3学級、さらに4学級にしたのも、通学区域内の学級数がふえたことと、遠隔地よりの志願者がふえたからであった。
 学校施設については、当初よりこれにたいする配慮能力無しとあきらめて、施設・器具は必要最少限で満足し、後は教師と生徒の創意と努力で補うという方針をとった。設立者たるドミニコ会が、本建築の校舎を建て、校具をそろえ、さらに寄宿舎をも建設されたことは、望外の喜ぴであった。

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愛媛県松山市在住 奥村清志
愛光学園勤務
メール : koko@mxw.mesh.ne.jp