From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 21 May 2000 15:48:46 +0900
Organization: So-net
Lines: 474
Message-ID: <8g80si$db2$1@news01cf.so-net.ne.jp>
References: <8eje11$bf3@infonex.infonex.co.jp>
<8f37c4$okv$1@news01cb.so-net.ne.jp>
<8f8d4c$s7s@infonex.infonex.co.jp>
<8fmjma$fhl$2@news01bd.so-net.ne.jp>
<8fqduv$pam@infonex.infonex.co.jp>
石崎です。
hidero@po.iijnet.or.jpさんの<8fqduv$pam@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。
こんにちわ。
このスレッドは神風怪盗ジャンヌのアニメ版を元にした妄想スレッドです。
神風怪盗ジャンヌの世界観を壊したく無い人は読まないで下さい。
では、ゲームスタート!
>>> 実は悪魔族と魔王にも若干腹案がありますです。矛盾しないと良いのです
>
>多少の矛盾はこの際先に文章にした方の勝ちという事で。^^;;;;;
と言うことで、先に文章にしてみました。
#「伝承」なので、後から幾らでも変更が利くところがポイント。
>そういうの沢山沢〜山持っています。えっ、もうDVD出ちゃうの?って。^^;
># でも今のところ東映がらみはDVDの見込は無いという噂が。-_-;
東映ならばまず「月」を出して頂かないと…。待ってるんです、実は(汗)。
ちなみにプリンセスナインにはやられました。LD全部買った直後にDVDが…。
泣きながら全部買いました。
># 悪魔の力でも神の加護でもない「人間だけの能力」で事態に立ち向かう
># 第3勢力を育てようと目論んでいましたから。
そう言う意図だったんですね。
こちらはフィンの駒の一つと捉えていました(ぉぃ)。
>ツグミさんに対しては「陥落」だと思っていました。(爆)
いえ、「陥落」の解釈で良いと思います。ツグミさん相手の場合では(爆)。
それとも、リバーシブル(専門用語)な関係?
>はい。ツグミさんが自分では夢だと思っている出来事を
>事実では?と疑い始めるきっかけの一つにするつもりが少々。
あら、シリーズ構成壊しちゃいましたか(汗)
>羽根こちょこちょ。(核爆)
それは考えてなかった(爆)。これで一つ便利な使い方が増えました(笑)。
>弥白とツグミさんの2人には、結構詳しく「今後」が用意してあります。
>##「少女革命ウテナ」第2部風に読んで頂くと尚良。
これを読んだ時に、展開がウテナの黒薔薇会編になるのかと真剣に考えました
(違)。
オチとしては、最終決戦後にいた筈の人がみんないなくなっていて、いなくな
った人に関わっていた筈の人も、その事を忘れてしまっていると(笑)。
いなくなった人はやはり、ツグミさんとかアキコとか(違)。
># ツグミさんとダーク・ツグミさんの関係は雪兄ちゃんとユエの関係?^^;
>## ぢつわ、ダーク大暴れの回がありますのでお楽しみに〜。
すると本物と見えるツグミさんの方が実は偽物なんですね(嘘)。
>>> ■東大寺都編
>>> ●都の部屋
>本当に都ちゃんが好きなんですね。
>これは所謂好きだから苛めてるパターンにしか見えませんが。(笑)
ばれたか(核爆)。
>★神風・愛の劇場 第48話 「邂逅」
>■名古屋稚空編
あ、委員長が気付いたんですね。実は一番気付きそうにないと思ってました(笑)。
噂の内容と都が開けた紙の内容は、佐々木さんの想像でビンゴです。
OA教室を出した目的も、佐々木さんの想像に近いです。
ちなみに気配の正体ですが、少し当初設定とは異なるのですが、それに合わせ
てシリーズ構成を修正しちゃいました。
で、そろそろまた怪盗もの的展開が近そうですね。今回、少し出しちゃいまし
たけど。
>■山茶花弥白編2
あ、ついにツグミさんと出会ったんですね。
ファーストコンタクトから、佐々木さんのシリーズ構成を想像してみたりして。
弥白が持ち出した物に対して見返りを用意する部分の設定は考えていなかった
のですが、らしくてグッドです。
ちなみにツグミさんが病院を出た時に落ち込んでいたのは、こちらのシリーズ
構成に合わせて頂いたのでしょうか。申し訳ないです。今回、話を摺り合わせた
積もりです。
># 珍しく「悪」の皆さんが登場してない。(笑)
…と言う訳で今回の本編は、金曜日の魔王サイドの行動を中心に
★神風・愛の劇場 第49話 『複製物』
■堕天使フィン・フィッシュ編
●桃栗動物病院 1/14(金) 午後3時
「はろ〜ん。イカロス、元気してた?」
フィンは、まろんと準天使として過ごしていた時の小さな姿で、イカロスの前
に姿を現し声をかけました。
「…」
反応は有りませんでした。
普段のイカロスであれば、フィンの気配を感じ取り、何らかの反応をしそうな
ものですが、こちらを見る事すらありません。
「ふ〜ん。ホントに効いているみたいね」
一昨日の晩、フィンがここの獣医に暗示をかけて処方した薬。それは魔界の秘
薬でした。
その効果は、全ての気力を奪うこと。
生きる気力さえも。
「そろそろ、ツグミが来る頃ね。それじゃあイカロス、又ね」
フィンは、病室から外に出ます。
外を飛びながら、何故か胸に痛みをフィンは感じます。
(もう後悔はしないって、決めたのに…。やっぱり最近変だ、私…)
■紫界堂聖編
●二日前の生徒指導室 1/12(水)
「──これは、貴方が書いたものですね」
生徒指導室の中で、椅子に落ち着かない様子で座っている女子生徒の前に、聖
は一枚の紙を差し出します。
「!」
その紙を一目見た瞬間、その女子生徒の顔は青ざめます。
「…違います。私じゃありません…」
それでも何とか、女子生徒は答えました。
「…そう。確かにその「雑談の部屋」DBの書き込みは、『匿名』で書き込まれ
ている。でもね、データベースのアクセス状況を見れば、誰がいつ、読み込みと
書き込みを行ったのか、一目瞭然なのですよ。その投稿がなされた時間、書き込
みを行ったのは貴方しかいないのですよ」
女子生徒はガタガタと震え始めます。
「あ、あの先生…」
聖は、女子生徒の所に歩み寄ると、生徒指導室の鍵を内側から閉めました。
「安心しなさい。掲示板の書き込みは削除しておきました。一応、これも管理人
の仕事なのでね」
聖は、女子生徒の肩に手を置きます。
「ひっ」
「…そう。この事は、誰にも言う積もりはありません。もっとも…」
聖は女子生徒の髪を手に取り、弄びます。
「な、何をするんですか…」
「それは貴方の心がけ次第ですが…」
そう言うと、聖は女子生徒の顎を掴んで自分の方に向けさせます。
「フフフ…これからが楽しみですねぇ」
震える女子生徒を見ながら、聖は悪魔的微笑みを浮かべるのでした。
●OA教室 1/14(金) 午後3時
(…あれから二日。計画は予定通り順調ですね。ククク…)
OA教室で独り、OA担当の臨時講師兼ネットワーク管理人の聖はほくそ笑ん
でいました。
「あ、聖先生。ここにいたんですか」
「おや、水無月君。何か用ですか?」
「実は…ちょっと話がありまして…」
「何ですか?」
「それが…」
委員長の話は、聖を少し驚かせました。
「少し力が強すぎましたか…」
「え?」
「あ、いや何でもありません。それで、今の話は誰かに話したんですか?」
「えと、名古屋君には相談したんですけど…」
「それで彼は何と?」
「自分に任せておけって。だけどやっぱり、ここのパソコンの事なので、聖先生
にも相談した方が良いと思いまして…」
「良く教えてくれました。私の方でも、調べてみます」
「あの、僕も手伝わせて下さい!」
「いいえ。これは、私の仕事ですから。それに水無月君。今日は学級委員長会議
の日では?」
「あ! そうでした! それじゃ先生、宜しくお願いします」
そう言うと、委員長はあたふたとOA教室から出て行きます。
「あの…」
委員長と入れ違いで、別の生徒が入って来ます。
「おや、君ですか」
入って来たのは、二日前のあの女子生徒なのでした。
女子生徒は、聖の前まで歩いて来ると立ち止まり、何かを待つように聖を見上
げます。
「やりすぎましたね、君は」
「…」
聖は、女子生徒の髪を手に取ると、その香りを愉しむかのように、顔に近づけ
ながら言います。
「また、個人授業が必要ですね。一時間後、生徒指導室にいらっしゃい」
「…はい」
そう答える女子生徒の目には、何故か生気が感じられないのでした。
■名古屋稚空編
●桃栗学園 校舎屋上 1/14(金) 午後9時
「本当にジャンヌには知らせなくていいんだな、シンドバット」
桃栗学園校舎の屋上で、アクセスはシンドバットに念を押しました。
「ああ。噂の内容をまろんが知ったら、傷つくかもしれないからな。この件は、
俺が始末をつける」
「でもよ、噂がここまで広まっているんだぜ? ジャンヌが気付くのも時間の問
題じゃ…」
「だから事は急を要する。俺の考えが間違っていなければ、チェックメイトで事
は全て解決するはずだ」
「どういう事だ?」
「だから、パソコンか周辺機器に悪魔を取り憑かせて生徒に向けて噂を囁かせ、
悪魔を取り憑かせる。クラスによって気配の有無が分かれていたのは、パソコン
実習を既に行ったクラスと行っていないクラスがあるからさ。気配が女生徒が殆
どだったのは、悪魔が噂を囁く相手を選んでいるからじゃないか? 更には、悪
魔に取り憑かれた生徒が他の生徒にも噂と共に悪魔を取り憑かせているのかもし
れない」
「するってーと」
「そう、大元の悪魔をチェックメイトすれば、恐らくは取り憑かれた人間全ての
記憶も消えるはず」
「成る程」
「それじゃ行くぞアクセス」
「合点だ!」
●OA教室
灯りが消えて真っ暗なOA教室。
シンドバットは教室のドアを針金一本で開けて、部屋の中に侵入します。
「何だ、他の教室と同じ構造の鍵じゃないか。不用心だな。お陰で仕事はやりや
すいが…。どうした、アクセス?」
アクセスは、何故か部屋の中でキョロキョロしているのでした。
「変だぜ、シンドバット」
「どうした」
「悪魔の気配がねぇ」
「何だって1? おい、ちゃんと確かめたのか?」
「ああ。昼間はあんなに悪魔の気配がビンビンしてたのに、今は殆ど気配が感じ
られねぇ」
「気配を消しているのか? だとしたら、かなり高等な悪魔だと言う事になるが
…」
「でもよ、気配を消せるのなら、どうして昼間は…」
「詮索は後だ。とにかく悪魔が取り憑いていそうな物にピンを全部試して見る
ぞ」
「え!? 全部壊しちゃうんじゃないの?」
「莫迦。そんな派手な事したら、まろんにまた嫌われる」
「あ、成る程」
暫くの間、シンドバットは怪しそうな物一つ一つに、「チェックメイト」と小
声で呟きつつ、ピンを刺し続けました。
それは、端から見ればかなり間抜けな光景でしたが、悪魔の居場所が分からな
いので、仕方がありません。
「これも駄目か…」
クライアントのノートパソコンの全て、サーバー、周辺機器、そして古いプロ
グラム実行用のPC-9821までピンを刺してみましたが、全く反応が有りません。
「おい、シンドバットやばいぜ!」
警察のサイレンの音が学園に近づいて来たのは、全てのパソコンを調べ終わっ
た直後でした。
「アクセス、予告状は出さなかったんだろう?」
「ああ。何かの警報にかかったんじゃないか?」
「…らしいな。ずらかるぞアクセス」
「おう!」
教室を飛び出したシンドバットは、窓を開けて裏門の方に飛び降ります。
その時、上空に誰かか浮かんでいる事に気がつきます。
「ノイン!? そうか、あいつが…」
警察のサイレンの音はますます近づき、シンドバットはノインの事が気になり
ながらも、すごすごと退散せざるを得ないのでした。
■ミスト編 1/14(金)午後11時
●オルレアン
オルレアンマンションの6階の空き部屋。
ここにミストはアキコと一緒に棲んでいました。
ミストは屋根のある部屋やふかふかのベットなどに拘りは無かったのですが、
アキコにはそれが必要だと感じたので、たまたま空いていたこの部屋を勝手に使
っています。
空き部屋なので当然、家具はありませんでしたが、それらはリサイクルセン
ターに送られる予定の粗大ゴミからミストが調達して来たので、少々汚いながら
も、それなりの住環境が整っていました。
もっとも、アキコがそれを嬉しく思っているのかどうかは、アキコの表情が常
に乏しかった為に、ミストにも良く判らなかったのですが…。
それともう一点、部屋は魔王から受けた使命の対象である、ジャンヌの住処の
真下にあるので好都合だったという事もあります。ミスト程の高級悪魔ともなる
と、自分の気配を消す程度は造作も無い事なので、このようにすぐ側で観測する
事も可能なのでした。
「どうしたの? まだ眠れないの?」
「…」
外から帰ってきたミストは、まだ起きていたアキコに声をかけます。
もちろん、いつものようにアキコの返事はありません。別にミストもそれを期
待してはいませんでした。
ミストは、ソファに座っていたアキコの横に座ると、アキコを自分の膝を枕に
寝かせます。
しかし、横にはなったものの、アキコは眠る様子はありません。
「眠らないと、身体に良くないわよ」
「…」
ミストは少し考えて、何かを思いだしたように言います。
「そうだ。人間は、子供を寝かしつける時に、歌を歌ったり、物語を語って聞か
せたりするそうね」
「…」
「あたしは歌は苦手だけど、『物語』なら、たくさん知ってるわ。これでもそれ
なりに長い刻を生きてきたのだから…。どうかしら?」
「…」
アキコの表情は相変わらず乏しかったのですが、何となく肯いた様にミストに
は感じられました。
「いいわ。話してあげる。これは、悪魔族に伝わる昔話の一つ…」
「──それは、昔々の物語。
「楽園」、現在は「天界」と呼ばれている場所に、現在は「神」を名乗る生命
が、ただ独り暮らしていた。
彼──性別は無いらしいけど──はいつから自分がそこにいるのか、自分が何
処から来たのかも忘れてしまう位、昔からそこにいたそうよ。
独りで寂しくなかったかって?
そう、彼は自らの持つ生命を作り出す力「創造力」を使って、「地上界」や
「楽園」の中で様々な生命体を作り出して、それで満足していたわ。
けれど、ふと自分に話し相手が欲しくなって、力を使って自分そっくりな生命
体、「人間」を作り出した。人間界では「アダム」と「イヴ」の伝承で伝わって
いるのは、この事を指しているらしいわね。
この話には続きがあるの。
「人間」を「楽園」から追放した後に、彼は「人間」を作り出す以前より孤独
になった。
当然よね。今までは「独り」で当たり前だったのに、話し相手が居るという喜
びを知ってしまったんですもの。
それで彼は、今度は自分自身と同種の生命体を作って、それを自分の話し相手
にしようとしたわ。
その試みは上手く行ったわ。いえ、上手く行きすぎた。と言うべきだったかし
ら。
とにかく、アダムとイヴの時の反省を元に、創造主である自分に、劣等感や違
和感を抱かないように、何から何まで自分に良く似た生命を作り出した結果、自
分そのものを作り出してしまったのよ。
その生命体は、産まれて最初に見た物を親と思う鳥のように、創り主である
「彼」に好意を抱いたけど、「彼」はそうは思わなかった。
自分と同じ姿。自分と同じ行動パターン。「彼」は、自分の考えまでもその生
命体に見透かされているような気がして、その生命体に嫌悪感を感じてしまった
の。
それで「彼」はどうしたと思う?
地上界、今で言う「人間界」に捨てたのよ。今まで、自分が創りだして失敗だ
った生命体と同じようにね。
その生命体は、捨てられても自分を創造してくれた「彼」を愛していたから、
「天界」に舞い戻ってきた。創り主である「彼」程では無いにしろ、それに準ず
る力を持っていたから出来たのよ。
その度に「彼」はその生命体を地上界に捨てた。その度にその生命体は「天
界」に舞い戻ってきた。
その生命体を抹消することは出来なかった。「彼」は、生命体を創り出す事は
出来ても、それを自らの手で消すことはどうしても出来なかったのよ。
いたたまれなくなった「彼」は、とうとうその生命体から「愛」という感情を
奪ってしまったの。もう二度と自分を慕って「天界」に戻って来ないように。
更に念入りに、地の底…今では「魔界」と呼ばれている場所に、その生命体を
閉じこめたの。
「愛」を奪われたその生命体に残されたのは、自分を創り出しながら、それを
捨てた「彼」に対する、憎しみ。
その生命体は、「彼」を恨み、復讐を誓ったの。
そうよ、その生命体こそが、後に「魔王」と呼ばれる存在。
「魔王」は、「彼」に準ずる力を持っていたから、限定的ながら「創造力」も
持っていた。魔王が創り出した生命体。それが今の魔界の住人達って訳。
あたし達悪魔族は、魔王が一番最初に自分を模して創った生命体と伝えられて
いるわ。
「愛」という感情に嫌悪感を抱くものが多いのは、魔王に「愛」という感情が
無かったからかしらね。
でもね、「悪魔族」は生命体としては失敗作だったのよ。強力な力を持ちなが
ら、その使い方を知らなかった為に、次第に天界からは蔑まれ、地上界では恐怖
され、魔界では疎まれる存在となったわ。
しかも、「愛」に嫌悪感を抱き、互いに信頼し合う事も無かったから、終いに
は同族同士相争い、一時は絶滅寸前にまでなったそうよ。
でも、悪魔族は滅びなかった。莫迦じゃなかったから、目立たないように本来
の力を隠すために力の多くを自ら封印し、愛が無くても互いを信頼できるように
「契約」を結んで手を結び、「法」を作って自らの行動を律したの。
魔界の住人達が何かと「契約」にうるさいのも、これが起源なのだそうよ──」
「…あら? まだ眠ってなかったの?」
「…」
ミストの昔話で、却ってアキコは眠れなくなったようなのでした。
「でも、あたしがこんな話をするなんて、どうかしてるわね。今まで誰にも話し
た事は無かったのに」
「…」
「実はね、さっきの話には、もう一つ別の言い伝えがあるのよ」
「…」
「──本当は、魔王様は「愛」という感情を全て奪われはしなかった。
たとえ創造主と言えども、生命体の感情を全て自分の思うがままに作り替える
事なんて、出来なかったのよ。
魔王様が何かと神と敵対するのも、憎しみからでは無く、神に自分の事を忘れ
て欲しくないから。
魔王様が神が愛した者──ジャンヌ・ダルクなんかそうね──を倒そうとする
のも、神の力を弱らせたいのではなく、嫉妬から。
そう、魔王様は今でも神の事を愛しているのだと──」
「…」
「え? 結局、本当の所はどうなのかって? 知らないわよ。あたし、この話の
内容自体、本当かどうか疑っているもの。所詮この話は『言い伝え』だしね。後
からの創作の可能性が大だわ」
「…」
「…でもね、最近はあたしもこの話、信じても良いかと思ってる。
──もう一つの言い伝えの方の話よ──
どうしてかって? それは、あたしが…」
ミストは、そこで話を止めました。
アキコが自分の顔を見ている顔が、何故か哀れんでいるように見えたからです。
「長話が過ぎたわ。さてと、そろそろ仕事に行かなくちゃ。…これは魔王様との
『契約』だもの…。あんたはここでちゃんと休んでるのよ」
ミストは、霧のように姿を消します。
もしここにフィンが居たならば、「逃げた」と思ったのでしょうが、アキコが
どう考えているのかは、その乏しい表情からは伺い知れないのでした。
(第49話 完)
何だか設定話となってしまったようです(汗)。
漸く一週間が経過しました。本当は土曜日まで話を進めようと思ったのですが、
気力が続きませんでした(汗)。何だか、悪魔を探せ! 的な展開になっている
気が…。
さて、明日土曜日は、
1 三枝氏退院
2 まろんちゃんがツグミさんの家に行く(予定)
というイベントがある予定です。どう話が進むことやら。
では、次回もあなたの心にチェックメイト! …だと良いですね。
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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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