神風・愛の劇場スレッド第40話(4/18付) 書いた人:佐々木秀朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 18 Apr 2000 16:46:32 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 252
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Message-ID: <8dh3so$12g@infonex.infonex.co.jp>
References: <20000403002503keitai@fa2.so-net.ne.jp>
<20000403003708keitai@fa2.so-net.ne.jp>
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<20000409142948keitai@fa2.so-net.ne.jp>
<8cs0mq$enl@infonex.infonex.co.jp>
<8dbnh3$sm6$1@news01de.so-net.ne.jp>
<8dbs5d$ik5$1@news01dh.so-net.ne.jp>

佐々木@横浜市在住です。

<8dbnh3$sm6$1@news01de.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> 石崎です。

こんにちわ。極秘指令Bは受領しています。鋭意実行中。
某所の扉が夏向きになりましたね。涼しげです。胸元とか。(爆)

>>  それから、実は意外に面白く見ているのが「マシュランボー」殆どヤクモの為
>> に見ている気もしますが(爆)。視聴率は前作品に比べて半減らしいですが。

声の魅力とEDのデフォルメキャラの可愛らしさは認めます。ヤクモの。^^;

>>  ジャンヌ世界を汚されたくない人だけ読んで下さい。

>>  妄想の方もそれに合わせています(笑)。
>> #今まで通りな気もしますが。

まぁ、アニメ版がそういうニュアンスを含んだオチでしたし
その路線を踏襲してる妄想です(だった?)から。

<8dbs5d$ik5$1@news01dh.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。

>> ★神風・愛の劇場第39話

弥白さまサイドの人間関係の見通しが固まって来た感じがします。
しかし何でも知ってるというか首をツッコむお嬢さんですね。(笑)
ついに見てはいけないものまで見たらしいですが。
ちょっと怖い目に遇ってもらう必要があるかもとか思ったりしてます。^^;
# で、いじめてみました。(笑)

三枝先生に関しては娘の写真は一枚も残ってない…という事態は
回避されている様子ですね。(別人だとまた大問題。^^;)

そして寂しい者同士もあ〜んな事に。^^;;;;;
かなり意外な組合せって気がします。そうですか眠れませんか。(爆)


# では行ってみましょう。


★神風・愛の劇場 第40話

●静かな郊外の一軒家

急に身体を離したツグミに物問いたげなまろん。即座にツグミは人指し指を
口許に当てて、まろんを制しました。ガウンを一枚羽織ると、ひたひたと
寝室を後にします。そしてサンサルを履いて玄関から外に出ました。
ポーチに立ってじっと様子を伺っているツグミ。
まばらながらも木立に囲まれたツグミの家は一番近い隣家からでも
優に500mは離れています。辺りに人の気配がするはずは在りません。
それでも…。

「ねぇ、何があったの?」

しびれを切らしたまろんが玄関先に出てきて囁きました。

「音が」
「音って何の?」
「何かが壊れるような音」
「私には聞こえなかったよ」
「ええ。でも確かに聞こえたの」
「表通りとかお隣りさんじゃないの?」
「違うと思う。そんなに遠くない」

ツグミはポーチから降りてゆるゆると蛇行する小道の途中まで歩いていきました。

「ねぇ、危ないよ。もしかしたら変質者とかかも」
「そうね」

歩を止めるツグミ。そこから200m程の距離の茂みに潜んでいた
弥白とは方向がずれていました。それでも怒りに任せた行動が
危機を呼び込んだことに違いはありません。息を殺して、集音マイクからの
声に耳を傾け、見え隠れするツグミとまろんの姿を暗視ゴーグルで追いました。
こちらにやって来ないことを祈りながら。弥白にとっては永遠とも思える
数十秒が過ぎて、ついにツグミは玄関まで戻っていきました。
まろんの姿が消え、そしてツグミの姿も消えようとしています。
弥白は音がしないようにゆっくりと息を吐きました。
まさにその時、吐き出し終えようとした息を凍らせる声が
イヤホンから聞こえました。

「誰だ、キサマは…」

咄嗟に顔を上げた弥白は血の気が引くのを感じました。
再びポーチに立っているツグミの姿がモノクロの暗視影像の中に
浮かんでいます。そしてツグミの右手がまっすぐに自分を指差して…

その後の事は良く覚えていませんでした。
後始末もそこそこに弥白は少し離れた道端に待たせていた車に
転がり込みました。運転手は弥白の悪戯には慣れていたので
大抵のことには何も言いません。しかし、その時の弥白はガタガタと
震えていたと言います。

「どうされたのですか、お嬢様?」
「な、何でもないの。行って頂戴」
「しかし、そのご様子は」
「いいから、この事は」
「判っております。わたくしめは何も存じません」
「ありがとう」

帰り道の車中で、やっと少し落ち着いた弥白は、きっと暗闇に長居をし過ぎて
気分が悪くなっていたのだと納得する事にしました。何故なら。

「そうよ。そうでなければイヤホンから男性の声がするはずは…」



ふと気付くと、またツグミが居ません。まろんが再び玄関に出てみると
ポーチに立ち尽くしているツグミが居ました。

「どうしたの」

返事がないので、傍に行って肩を揺すりました。

「ねぇ、ツグミさんってば」
「へっ?、あら、私どうしたのかしら」
「やだなぁもう。こんな寒い中で居眠り?」
「変ね。確か家に入ったのに」
「早くベッドに戻りましょ。冷えちゃったんじゃない」
「そうね。温めてくれる?」
「お望みとあらば」

●山茶花邸本宅

部屋に戻った弥白は熱いシャワーを浴びてバスローブ姿で椅子に座っていました。
目の前の卓の上にはデジタルビデオのテープが一本。
先ほどの調査行動の際の、偵察ユニットからの影像、暗視ゴーグルから
分岐させた影像、そして集音マイクの音が記録されているはずでした。
平常心を取り戻した自信はありましたが、このビデオを再生してみる
勇気が湧きません。何度かテープを手にしては放り投げを繰り返しています。
やがて。

「ばかばかしいですわ。何を臆病になっているのでしょう」

わざと声に出して自らを鼓舞すると、リモコンをつかんでボタンを操ります。
壁のひとつがスライドして業務用の無骨なモニターが2面並んで現れました。
そのモニターの下には各種の影像メディアの録画再生の為のデッキが
収納されています。その内の1台に件のテープを飲み込ませました。
冒頭の部分は弥白の記憶の通りです。何度見ても腹が立つところ。
そして画像の乱れはモニタを壊した時の衝撃でしょうか。それから。

「ここからですわ」

一度姿の消えたツグミ、そして再び現れて。弥白はビデオを静止画にして
ツグミの様子をじっくりと観察しました。やはり間違いなくこちらを
指差しています。何時の間にか戻ったポーチの上から。ポーチの…

「え?」

テープを巻き戻して、再び同じ所を再生します。そして静止。
何時の間にか戻っているツグミ。ポーチから降りて半歩踏み出しています。

「えええ?」

テープを再度巻き戻して、同じ所を再生します。そしてまた静止。
何時の間にか戻っているツグミ。小道沿いの茂みのこちら側に立っています。
汗が冷えて背筋に怖気が奔りました。

「そんなバカな事が在るはずありませんわ。
 わたくしがぼんやりしている間にこちらに近づいて来たのが
 知らぬ間にビデオに写っていたに違いありません」

ビデオを止めて深呼吸した弥白。いつも就寝前に口にするハーブティを
濃い目に入れて一口飲みました。それからもう一度同じ場所を再生します。
弥白は手にしたカップを床に落としてしまいました。
あまりの事に訳が判らなくなった弥白。そうだと思い付いた事がありました。
音声を聞いていません。スピーカーのスイッチを入れました。
雑音が続き、やがて。

「逃げられると思うな」

画面一杯に大写しされたツグミが弥白を指差しているのでした。
悲鳴を聞いた執事が弥白の部屋に入ったときは彼女の自慢のビデオシステムは
ぶちまけられたポットいっぱいのハーブティの所為でショートして
煙を吹いていたのでした。取り出したテープを後日再生しても
何も写ってはいなかったという事です。

●静かな郊外の一軒家の朝

まだ夜明け直後の時間。学校へ行かなければならないまろんは
少し早目にツグミの家を出なければなりませんでした。
それでもほんのわずかでしたが、朝のまどろみの時間をゆったりと
過ごしています。

「ねぇ日下部さん。私、変な夢を見たの」
「変なってどんな夢?」
「昨夜、物音がして表に出たでしょ」
「うん」
「夢の中で、私はそのまま家に戻らないでどんどん歩いて行くの」
「ふ〜ん」
「そうすると大きなお屋敷に辿り着くのね」
「森の中のお屋敷かぁ」
「そこには私の知らない女の子が居て」
「うん」
「その娘は私を見て気絶しちゃうの」
「え〜、何それ」
「ね、変な夢でしょ?失礼な娘よね」
「ほんと」

忙しい朝でしたが、2人で分担して簡単な朝食をつくって食べました。
そして帰っていくまろん。

「今度は何時来て下さる?」
「う〜ん。土曜日のお昼過ぎなんてどうかな。
 その後で日曜までずっと一緒に」
「素敵ね。待ってるから」
「うん。また電話するね」
「ええ」

ツグミはまろんの足音が聞こえなくなるまでずっと見送っていました。

●日下部家

まろんよりも近所で夜明かしをしたので先に部屋に戻ったフィン。
留守だったので、勝手に泊まっていたミストに鉢合わせします。

「あんた何やってんのよ」
「たまにはアキコと屋根の下で一夜を過ごそうかと思ったのさ」
「留守中に勝手に入らないでもらいたいわね」
「まぁ、いいじゃないか。どうせお前の家でもあるまい」
「ふん」

ふと部屋を見回したフィンは床の上の半分消えかけている
図形に目を留めました。

「あんた、昨夜ここで術使ったのね」
「ああ、ちょっと暇潰しをな」
「その娘とロクでもない遊びでもしたのかしら」

アキコはちょっとだけ顔を上げてから眠そうに
再びミストの胸に顔を伏せるのでした。

「遊んで来たのはお前の方だろう」
「何でもいいけど、掃除しなさいよ」
「お前のご主人様に言え」

ミストはそう言って朝の陽光の中に霞んで消えていってしまいます。
それからすこし遅れて、所在なげにアキコも姿を消してしまうのでした。

(第40話・完)

# ちょいとホラー風にしてみました。

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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