From: hidero@po.iijnet.or.jp
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 28 Mar 2000 12:42:11 +0900
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佐々木@横浜市在住です。
妄想第34話、こっちは後編です。
# 前編を先に見てくださいませ。
神風怪盗ジャンヌの本編や原作から逸脱した話を
読んでもイイよという方のみ以下をどうぞ。
★神風・愛の劇場 第34話(後編)
■ゲームスタート
「ジャンヌだ!」
春田刑事の声に一斉に動き出す警官隊。しかし翻弄されているだけに見えます。
やがて少しづつですが警備網がほぐれていきます。
一方、弥白は本館の自室に戻っていました。するとそこへ。
「お嬢様、警察の方がお会いしたいそうですが」
「あら、またですの?」
「如何いたしましょうか」
「そうね…」
「失礼します!急いでますので」
執事の脇をすり抜けて部屋に入ってきたのは秋田刑事でした。
「変なことをお尋ねしますが、今日、私に会いましたか?」
「はぁ?何のご冗談ですの?」
「ですから私がお伺いしましたかと」
「先ほど東大寺警部さんと一緒にお見えだったんじゃありませんか」
「そいつはニセモノです!」
「あらまぁ」
「何か不審な様子はありませんでしたか?」
「別にこれと言って…、あぁ、そうそう」
弥白はハンカチの一件を話しました。
「それです。シンドバッドに違いない。奴は爆発物のプロです。
きっとあの設備を内側から爆破するつもりに違いない」
「でもたったの30グラムですのよ」
「数グラムでも最近の爆薬はこのお屋敷ぐらい吹き飛ばせます」
「冗談じゃありません。データは兎も角、あのマシンはお高いのよ」
「私を中に案内して下さい。急いで!」
執事の運転で急遽別棟に向かう弥白と秋田刑事。
そして2人は大急ぎで地下4階の電算室へと降りていきます。
磨きあげられた床の隅に綺麗にたたまれた小さな布が落ちています。
「あら、ハンカチが」
「おかしいですね。ここにもハンカチが」
「え?」
振り向いた弥白の目の前には確かにもう一枚のハンカチが。
そして、そのハンカチが顔に近づいてくると不思議な香りがしました。
床に倒れそうに弥白を秋田刑事が抱き留めます。
「悪いな弥白。でも、ちょっと悪戯が過ぎたぜ」
弥白をそっと横たえると、秋田刑事はコンソールから何かを打ち込んでいます。
「前に見せられた時からパスワードが変わってないといいが」
そして画面の表示をみてニンマリする秋田刑事。
それから持参した小型の光ディスクを読み取り装置にセットしました。
ほんの数秒でそれを取り出すと、またポケットにしまいます。
弥白を抱きかかえてエレベーターに乗る秋田刑事。
難無く表に出ると、生け垣の側で待っていた執事に弥白を託しました。
「お嬢様、どうされたのですか」
「やられました。既に中はシンドバッドに襲われた後だったのです。
弥白さんはショックを受けられたようです」
「急ぎ主治医の先生を呼びますので」
「お願いします。自分は警部達に報告しますので」
そういうと秋田刑事は走り去りました。
■とにかく広いお屋敷
警官隊と鬼ごっこを続けるまろんちゃん=ジャンヌでした。
そこへアクセスが飛んできます。
「大変だぜジャンヌ」
「あ、さっきは有難とね、私の分の予告状まで運ばせちゃって」
「フィンちゃんの代わりなら喜んで、ってそれどこじゃ無いんだよ」
「何よ、私今結構忙しいのよ」
ジャンヌ、木立を飛び越えて高く舞い上がります。
なんとかついてきたアクセス。
「悪魔なんだよ」
「え?」
「あの屋敷に悪魔が居るんだ!」
「成程ね〜、読めてきたわ」
「何の話してんだよ」
「いいから、案内して」
本気を出したジャンヌは一気に東大寺警部達を引き離して
山茶花邸本館に迫ります。
「あそこだ、ジャンヌ」
アクセスが指し示した先。それは屋敷の3階の角でした。
今ははっきりと判ります。窓を通してにじみ出る気配が。
「判った。後は任せて」
「頼んだぜ。オイラ、シンドバッドの様子見てくるから」
ジャンヌはあっと言う間に3階の窓辺にとり付くと中の様子を伺います。
誰も居ない様でした。そっと窓を開けて中に入ります。
のんびりしては居られません。ジャンヌを見失った東大寺警部達が
すぐに此へやってくるでしょうから。
気配を追ってそっと隣室へのドアを開きます。
思わず絶句してしまったジャンヌ。
なんと別邸でブチ壊したのと同じ機械が並んでいます。
「げ〜っ、こっちにも在るじゃない。シンドバッドの馬鹿!」
またバケツに水を汲んでこようかと思ったその時です。
黒い冷蔵庫に繋がったワープロ…とジャンヌが思っている機械から
紫色の靄が上がっています。
「居たわね、さっさと出てきなさい」
ゲラゲラと下品な嗤い声が部屋に響き、そして靄が形を整えます。
「死ね!」
悪魔が腕を伸ばして襲いますが、あっさりとかわすジャンヌ。
その度に部屋が滅茶滅茶になって行きます。
やがてそこら中のマシン類が全て壊れた頃。
「はい、ご苦労様〜。チェックメイト!」
ぽんっ。封印された悪魔はナイトの駒になりました。
「回収完了」
■脱出
屋敷の外に出たジャンヌ。しかし異変に気付きます。静か過ぎるのです。
辺りに視線を飛ばすジャンヌ。もうとっくに来てもいいはずの警官隊が
見えません。ゆっくりと邸宅の正門方向に歩いていくジャンヌ。
突然、前方から投光器の放つ白い光がジャンヌの目を射ました。
「ジャンヌ、今日こそ年貢の納め時よ」
「何時もご苦労様ね」
「最近、私、機嫌悪いのよ。だから大人しくしなさい」
「勝手な言い草。でも、そういう訳にはいかないの」
「でしょうね」
身構えるジャンヌ。時が流れます。1分、2分、そして3分。
「(何を考えているの、都)」
逆光に少しづつ目が馴れたジャンヌがやっと都ちゃんの
姿をはっきり捉えました。何時の間にか口に何かくわえています。
くぐもった声が聞こえてきました。
「都スペシャル・ゼロ」
めまいがジャンヌを襲います。
「何を…したの」
「無色無臭の神経ガスよ、ジャンヌ。あなたの周りの地面に
ボンベが埋まってるの。素早さでは勝負にならないから」
「…いん…ちき」
都ちゃんが傍にやってきました。小型の酸素ボンベから呼吸の度に
シューシューと音がしています。その音がやけに耳につくのでした。
すっかり動かなくなったジャンヌ。腰をかがめる都ちゃん。
「ちょっと反則な気もするけど、どうしても捕まえなきゃならないの」
その時です。ヒュン。風を切る音がして投光器のレンズが割れ
辺りが突如として闇に包まれます。投光器を背にしていた都ちゃんも
その急激なコントラストの低下に一瞬視界を失います。
目が慣れた時には、もうジャンヌの姿は在りませんでした。
「仲間が居るなんて。ジャンヌもインチキよ!」
■続・日下部家の人々
ベッドに横になっていたまろんちゃん。目を醒ますと辺りを見回します。
頭がボンヤリしていて、部屋の様子もよく判りません。
「気が付いたか」
誰かの声…稚空だと気付くのも時間が掛かりました。
「あれ…私」
「都に一敗ってトコだな」
「そうかぁ、そうだったね」
上半身を起こすまろんちゃん。なんとか眩暈に耐えています。
「救けてくれたんだ」
「当然だろ。俺達はパートナーだぜ」
「そうかもね」
自分の髪の毛に触れてみるまろんちゃん。
何かに思い至った様です。
「ねぇ、私の変身、何時解けたの?」
「ああ、俺が服を脱がしたら」
バキっ。まろんちゃんのパンチが稚空の顔面に炸裂しました。
一発で撃沈した稚空はピクリとも動きません。
よくよく自分の姿を見たまろんちゃん。パジャマ姿です。
「稚空なんか絶対パートナーじゃないわ!」
廊下に放り出した稚空にまろんちゃんの罵声が飛びましたが
気絶してる稚空には聞こえていませんでした。
部屋に戻ったまろんちゃん。リビングで寝ているフィンを見て
今夜出かける前の夕方の事を思い出しています。
*****
空がオレンジ色に染まる中、リビングで行ったり来たりしているまろんちゃん。
フィンを待っているのですが、ちっとも現れません。
しびれを切らしたので絶対に出てくる呪文を唱えます。
「フィン、力を貸して」
「嫌よ」
まろんちゃんが振り返るとベランダにフィンが座っています。
「良かった。待ってたのよ」
「何度でも言うけど、私はアンタの事大嫌いなんだからね」
「まぁたまた〜、照れちゃって」
「まろん、脳味噌の消費期限切れてんじゃない?」
ぼかっ。
*****
「……まっ、ちょっとしたすれ違いよ」
まろんちゃんはフィンを引きずって寝室へと戻っていきました。
■続・山茶花邸本館
ベッドに横になっていた弥白。目を醒ますと辺りを見回します。
頭がボンヤリしていて、部屋の様子もよく判りません。
「お気付きですか」
誰かの声…稚空の声だったら良かったのにと弥白は思いました。
「私、どうして」
「別棟の地下でお倒れになられたのです」
「そう、あれが偽者でしたのね」
上半身を起こす弥白。それからベッドを降りてスリッパを履きました。
「どうかご自愛ください」
「大丈夫、すぐに確かめないと」
「警察の方が事情をお聞きになりたいと申されて。
それまでは何もお手を触れないようにと」
「そうはいきません」
弥白が部屋を横切って隣りの部屋の扉を開こうとすると。
「どうか、お止めください、そこは」
「急がなくては」
執事が止めるのも聞かずに扉を開けた弥白が見たものは
すっかり、クズ鉄の山になった電算室でした。
茫然と見詰める弥白。しかし。
「ふふ。うふふふ。こんな事くらいでは負けませんわ」
踵を返すとまた部屋を横切り、窓辺の文机に向かいます。
自然木の木目を活かしたベッド並みの大きさの机でした。
椅子に座った弥白が手を机に乗せると一部がスライドして
薄型のモニターとキーボードが迫り上がってきました。
自動的に電源が入り、入力を待っている状態になります。
ばたばたとキーを入力すると、やがて画面の色がサっと変わります。
画面の隅に「確認、弥白様、システム接続」と出ます。
それを見た弥白は更にいくつかのコマンドを入力したのですが。
「そんな、まさか…」
地下のメインアーカイブからの応答は全ての書庫が空という物でした。
「やってくれますわね怪盗さん。でもバックアップは
まだまだまだ在りますのよ」
続けてコマンド入力。遠隔操作でバックアップ用の光ディスクが
ドライブ装置に装填されます。バックアップからデータを読んでいます。
そして…
執事がお茶を運んできたときには、弥白は再び気絶していました。
稚空が置いていったデータはシステムに何かがアクセスする度に
自分を除く全てを消去して回るワイパーと呼ばれるワームでした。
弥白がシステムに接続した結果、ネットワークで結ばれた全てのマシンに
そのワームが伝搬していったのですが、弥白本人は自分がダメ押しを
したなどとはついぞ気付くことはありませんでした。
■オルレアンの空の上
身じろぎをしたミスト。
抱かれて眠っていたアキコが目を醒まして顔を上げました。
「起きたのか」
不思議そうな顔をしているアキコにミストは言いました。
「まぁいいさ。キャンディの一つや二つ」
ミストが撫でていると、アキコは再び眠ってしまいました。
*** 第34話・完 ***
# う〜ん、長い。(苦笑)
# ある程度まとまった物語を展開すると伸びちゃいますねぇ。
では、また。
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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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