神風・愛の劇場スレッド 第146話『悪戯』(9/9付) 書いた人:携帯@さん
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From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation
Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: Sun, 09 Sep 2001 09:40:37 +0900
Organization: So-net
Lines: 484
Message-ID: <9nedq8$6oi$1@news01cg.so-net.ne.jp>
References: <9m51ub$fmr@infonex.infonex.co.jp>
<9m9r5a$drh$1@news01bi.so-net.ne.jp>
<9mne7o$9t8@infonex.infonex.co.jp>
<9msbuh$dkk$1@news01de.so-net.ne.jp>
<9n9qk1$9sf@infonex.infonex.co.jp>

石崎です。

hidero@po.iijnet.or.jpさんの<9n9qk1$9sf@infonex.infonex.co.jp>から
>佐々木@横浜市在住です。

こんにちわ。

 このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版の設定を元にした妄想スレッド
です。そう言うのが好きな人だけに。



>>> >>> > >> ★神風・愛の劇場 第140話『贈り物』(前編)
>
>フィンの事と言えば最後に彼女がどうする(どうなる?)かという部分にも
>彼女自身の心情が密接に関係して来そうですし。
>下手するとまろんちゃんよりも扱いが難しいと感じます。

 フィンは難しいです。原作通りにはしない予定でいるのですが。

#とは言え、原作のフィンのその後もそれはそれでかなり捨てがたいのでそこら
#辺の辻褄合わせが難しいところ。

 それと、ノインとシルクですね。ノインをアニメの通り死亡させた場合、シル
クが一人残されてしまうことになります。原作でノインが死ななかったのは、シ
ルクがいたからなのではと思っています。
 それとノインを殺す場合、ノインが…する動機を先に与えないといけませんし
(謎)。

 人間は大体カップリングが決まっているので良いのですが、オリジナル組の行
く末も考えてやらないといけないし。

#この部分は、ノインの行く末次第で変わるので現在の所未定。

>>> >>> > ★神風・愛の劇場 第141話 『棲んでいる』
>
>私の頭の中の魔界を文字にするとまさしく「一見厳しい掟が無くて…」という
>感じですが、同じイメージから同じ文字表現になったのか、それとも全然違う
>イメージが偶然表現だけ一致したのか興味深いものがあります。

 ちょっとこの部分は妄想ストーリーがあるのですが、ここでは書かない事にし
ます。ちなみに絵にするとちょっと凄惨(謎)。

>>> >>> ★神風・愛の劇場 第142話『手紙』
>
>活躍…どちら側でかという辺りが結構重要ですね。^^;

 そうか、あちら側という手もありましたね(笑)。
 すると最後の敵は…ツグミさんだったりして(違)。

>>> >★神風・愛の劇場 第143話 『滲み』
>
>>> #他には寝ている最中に襲われるパターンとか。
>
># 実際の怪談体験記は金縛りというと寝ている最中の話ばかりです。
># それ故に単なる睡眠障害と言われてしまう訳ですが、それを風呂場で
># やったらエッチっぽい話になるかなと思って試してみました。(笑)

 実はフォロー中に思い描いていたのは、外国のホラー映画で女性キャラがシャ
ワーを浴びている最中に襲われ、惨殺されるシーンだったりして(笑)。

>>> ★神風・愛の劇場 第144話『決裁』
>
>手紙の中身は写真でしたか。アレは別途別な誰かさんの手によって
>もたらされるのか思っていましたが。まろんちゃんが待っている手紙から
>意外な物が出てくるという辺りに狙いがあるのですね。

 はい。それと、後でこの手紙が公に出た時に、万が一にも佳奈子ちゃんに疑い
がいかないようにという事もあります。

># まろんちゃん、元々稚空への信頼が厚い訳では無い故に写真を見ても
># 大ショックという程では無かったらしい。^^;

 既に都ちゃん×稚空で一度ショックを受けていますので(笑)。

>ノインの口から語られる経緯はフィンが魔界に来たきっかけが魔界(魔王)側
>からの働きかけである事を示してます。成程、かなり情況が見えてきたかな。

 一応アニメでも原作でも、フィンが魔界に来る原因は魔王の陰謀という事にな
っていましたので、合わせました。

#ちなみに理由はアニメとも原作とも異なっているのですが。

>判るか?と聞かれたという事は、もしかして続きを書けと
>話を振られたのでしょうか。^^;

 続きを書かれても、そうでなくてもどちらでも良いかなと思っていました。
 どちらかと言うと無意識に誘っていたのかもしれませんが。

#たまには、本当のリレー小説っぽくしないと(笑)。

>### 敢えて多分「こうでは無いだろう」という路線。^^;
>
>★神風・愛の劇場 第145話 『ちょっとそこまで』

 佐々木さんが書かなければ、自分でこう書いたであろうという内容に近かった
ので、少し驚きました(笑)。予定としては、

・全がツグミさんを自分の家に招待する
・招待されたが最後、大会が終わる頃まではツグミさんは桃栗町に戻れない

 …を考えていましたので。
 逆にこうでは無いだろうという話を書く以前にこうだろうと思った内容の方に
興味があったりもするのですが。

 全がツグミさんを招待する理由が午後のお茶では無く夕食に招待するのと、実
際に屋敷まで辿り着く事、更には屋敷には途中までは車で行く(ツグミさんに道
を覚えられないため)という違いはあれど、まろんちゃんにツグミさんがメモを
残していく事やそれを全に見せて確認する辺りまで同じだったのには苦笑するし
か(笑)。

 ちなみに私案では、メモは台所のテーブルの上に残されていて、行方不明のツ
グミさんを心配して2階のバルコニーから侵入したまろんちゃんが、この事を予
期していたツグミさんのメモを発見…というプランでした。

 ツグミさんが全の気配を察知出来なかったのは、彼が本来人外の者という事を
現している表現でしょうか。
 ツグミさんの作ったスパゲティ・ナポリタン。ケチャップで無くトマトを使っ
たナポリタンと理解すれば良いのでしょうか。それとも、茹でたパスタの上にト
マトソースがかかった代物?
 ケチャップの方は、今では逆になかなか出会えない存在となってしまった気が
します。

 ツグミさんがメモを残す事は予定していましたが、そのメモの方に仕掛けがあ
るのは予定していませんでした。
 恐らくはノインが用意した紙なのでしょうが、浮き出た文字には何が書いてあ
ったのやら。きっと、これを読む人が傷つくような内容なのでしょうけど。

 聖の家まで歩いて行く二人。ツグミさんの事だから、道順は全て頭の中に入っ
ているのでしょうけど、お約束なパターンとしては後からその道を辿っても屋敷
には辿り着けないという事だったりして。
 そして、ノインの指示したいつもとは違う道。そちらにノインの仕掛けがして
あるのでしょうが、何やら気がかりな点がある様子。ちょっとその内容が判らな
いのですが、してみると…かな。

 最終的に屋敷まで辿り着けるのかどうかが謎ですが、某所雑記に書いてあった
あの記述は、先の展開を暗示しているのでは? …と呟いてみます(笑)。


 では、本編へと続きます。


★神風・愛の劇場 第146話『悪戯』

●桃栗町

 真冬とは言え良く晴れた水曜日の午後。
 桃栗町で二番目に高い建築物であるホテルロレーヌの屋上に横たわり、日向ぼ
っこを楽しんでいたフィン。
 次なる作戦を控え色々とやるべき事はあったのですが、今はする事が無かった
ので、休息を取っていたのでした。

 目を瞑り横たわり、午後の日差しを浴びていると、まるで天界に戻ったかのよ
うな安らぎを覚えます。
 そう気付くと、やはり自分は天界の出自なのだと思わずには居られません。
 魔界での光は所詮作り物に過ぎないのですから。

 そんなフィンの安息を邪魔する影がありました。

「起きて、フィン」

 それは、フィンが良く知っている声。
 それはフィンにとって心地良くもおぞましくもあり、本当の所はどちらなのか、
恐らくはフィン自身にも判らない声。

 ドキリとしてフィンは、薄目を開けました。
 そして影の正体に気付くと、声にならない叫びを上げ、後ずさるのでした。


●桃栗警察署・ジャンヌ特捜班

「何? 予告状!?」

 ジャンヌからの予告状が届いた事を告げる電話が鳴り響いたのは、丁度午後の
お茶を入れようと、本日の当番の秋田刑事が席を立ちかけた時でした。

「どうした〜。今度はどこだ〜」

 液晶デスクトップパソコンの画面を見つめ、先程から熱心にマウスを動かして
いた氷室が、パソコンの横から顔を覗かせました。

「はい。つい先程、県の行政センターに届けられたそうです」
「それでターゲットは」
「予告状の写しをメールで送ったそうですが」
「そうか。ちょっと待て。ええと…、お、これかな。なんか変なファイルがつい
ているようだが」
「それをダブルクリックして下さい」

 氷室が添付ファイルを展開すると、ブラウザ画面上にスキャナで取り込んだら
しい画像ファイルが表示されました。

*******************
*      予告状 *
* *
*  新体操地区大会主催者様 *
* *
*  2月19日、新体操の美しさ  *
*  頂きます *
* *
*          怪盗ジャンヌ *
* *
*******************

「新体操の美しさ? 一体何を狙っているんだ? ジャンヌは」
「判りません」
「前の大会の時もジャンヌは現れましたよね」
「優勝トロフィー…」
「前回怪我で出られなかったからって張り切ってましたよね、都さん」
「応援に行くと約束していたのだが」
「予告状が出た以上、警備計画を立てないといけませんが」
「判っとる。ところでこの件だが、都には知らせるんじゃないぞ」
「どうしてでありますか?」
「馬鹿、大会への練習に専念して貰うためだろう」
「あ、そうか…」
「しかし、当日には幾ら何でも気付かれてしまうのでは?」
「その事なんだが、考えがある」

 そう言うと、氷室は今考えた案について部下達に話し始めるのでした。


●オルレアン・まろんの部屋

 部活が終わった帰り道、都が今日の夕食を一緒に食べようと誘うと、昨日は断
ったまろんは今日は「いいよ」と笑顔で肯きました。
 もっとも都には、その笑顔をそのまま受け止めるような事はしなかったのです
が。

 最初は自分の家に誘おうと思い、まろんにもそのように伝えたのですが、帰宅
してみると家は無人で、テーブルの上には布巾がかけられた夕食とメモ書きが残
されていました。

都へ

 昴の所に行っています。
 遅くなるから、夕食はこれで済ませてね。
 それから、お父さんも今日は警察に泊まりなので、
夕食はまろんちゃんにもお裾分けして一緒に食べてね。

                      母より

「(また、昴兄さんの所か…)」

 昴が桃栗町に戻って来て以来、何かと桜は昴の家に行き、世話を焼いているの
でした。

 桜の書き置きを読んだ都は、急遽予定を変更して、まろんの家に行くことにし
ました。
 食事の載ったお盆を持ち、まろんの家のチャイムを鳴らすと、まろんは少し驚
いた表情を見せつつも、いつものように迎え入れてくれました。
 折角のお客様だからと、まろんは自分が作って食べ残したままのメニューも暖
め直してテーブルに並べたので、テーブルには二人分にしては多すぎる料理が並
ぶことになりました。

「う〜ん、ちょっと量が多すぎて太っちゃうかも」
「運動したから、これ位でも良いんじゃないの?」
「それでも多いかも」
「後で運動すれば良いわよ」
「運動って…都と?」
「そうよぉ」
「良いの?」
「どうしてそんな事聞くの?」
「だって…」

 何故か、まろんは少し顔を赤らめているようでした。
 変な娘ね。
 そう思った都でしたが、少し考えて、その理由に気付きました。
 全く、この娘は…。

「まろんだって毎晩やってんでしょ。ストレッチとか…」

 都がそう言うと、まろんははっとした表情になりました。

「なんだ、そっちの方かぁ」
「どっちの方だと思ったのよ」
「え? いや、何でもないよ」
「教えなさい!」
「あ、ほら都。食事冷めちゃうよ」
「話を逸らしても無駄よ」
「じゃあ食事の後で」
「何なら今晩たっぷりと尋問してあげようか?」
「駄目よ。余計な体力消耗しちゃう」
「余計な体力?」
「あ…今のは忘れて」
「…何考えてんだか。ま、良いわ。食べましょ」

 それを合図に二人は食事を始めました。
 たわいない話をしつつ、都はまろんの様子を伺いましたが、まろんは普段と変
わらない表情を都に見せていました。
 相変わらずのポーカーフェイスか、それとも自分がいる事で気が紛れているの
か。
 答が出なかった都は、直接聞いてみる事にしました。

「ねぇ、まろん。今日の練習の事なんだけど」
「何?」
「パッキャラマオ先生に随分と絞られていたじゃない。何かあったの?」
「別に何も無いわよ」
「嘘。何か悩みでもあるんでしょ」
「そういう都だって、昨日は怒られていたじゃない」
「話を逸らさない」
「ちょっと気になることがあって」
「気になること?」
「三枝先生の事」
「ああ、今日も来てたわね。随分とまろんの事を熱心に撮っていたみたいだけ
ど」
「それが気になるのよ」
「今までもモデルやってたんでしょ。何を今更」
「先輩達にまた嫌みを言われそう」
「そんなの気にしない」
「私は気になるの!」
「なら、パッキャラマオ先生にお願いして、練習中は遠慮して貰ったら?」
「でも…」
「まろんが言い難いなら、あたしが言って上げるよ」
「それは止めて」
「どうしてよ」
「だって、三枝先生の事情は知ってるし、それに…」
「死んだ娘さんがまろんにそっくりだって言うんでしょ。だからって、何時でも
どこでも写真撮らせて良いってもんじゃないわよ」
「でも…」
「甘い顔してると、その内ヌードでも撮らせてくれって言い出すわよ」
「そうかな。そんな人には見えないけど」
「人は見かけによらないわよ」
「それに、実は練習風景を撮らせてあげるって前に約束してたし」
「そんな約束してたの!?」」
「みんなも平等に撮るって約束だったんだけどね」
「はぁ…」

 都は、ため息をつきました。

「まろんが良いならそれで良いけど、大会も近いんだから、それに気を取られち
ゃ駄目よ」
「はぁい。判ってます」
「宜しい」



 夕食の後片づけの後で、二人は腹ごなしも兼ねて二人で体操をしました。
 最初は真面目に体操をしていた二人ですが、途中から都がふざけてプロレスご
っこのような形になってしまいました。
 仕掛けたのは都の方でしたが、最終的に押さえ込まれていたのも都の方でした。

「ちょ…タンマ! ストップ、スト〜ップ!」
「あら、もう降参?」
「降参。意外にやるじゃない、まろん」
「へへ…」

 そう言うと、都に覆い被さる形になっていたまろんは、都から離れました。

「あたしも夏田さんに時々教えて貰っているんだけどな」
「そうなんだ」
「一体どこでそんな技を身につけたのよ」
「特にどこかで身につけた訳じゃ無いけど…」
「嘘」
「本当よ。強いて言えば独学」
「マジ? はぁ。まろんには叶わないわ」
「へへ…」
「これじゃ、今晩は大変かも」

 小さな声で、都は呟きました。

「え、何?」
「何でもないわよ。それより、汗かいちゃったね」
「はぁい。お風呂の用意は出来てます。お先にどうぞ」
「まろんが先に入りなさいよ。まろんの家なんだし」
「お客様こそお先に」
「なら、間を取って一緒に入るってのはどう?」
「何よそれ」

 そう言いつつも、結局二人でお風呂に入ることになりました。



「着替え取って来れば? 都」
「さっきジャージ取って来る時に一緒に持って来た」
「それでスポーツバック毎持って来たのね。その様子だと泊まるつもり?」
「迷惑?」
「ううん、大歓迎よ。じゃあ、都は先に入ってて。私は後から入るから」
「判った」

 まろんに言われるまま、都は先に浴室に入りました。
 身体を軽くシャワーで流すと、湯船に入ることはせずに先に身体を洗います。
 それが都の習慣だからという事もありますが、何となく、まろんに触られたく
なかったと言うのもあるのでした。

「(あんな娘じゃ無かった筈なんだけどな)」

 正直、ここ一ヶ月のまろんの変化に都は驚いているのでした。
 きっとそれは、自分のせいに違いないとも感じています。

 ──だけど今更どうする事も出来ない。
   それに本当はあたしだって、まろんの事を。
   この前のように自分を抑えられるのだろうか。
   あたしは、どうすべきなんだろう?

「クシュン」

 気がつくと、身体を洗う手を止めて考え込んでいる事に気付きました。
 殆ど身体は洗い終わっていたので、シャワーでボディソープを洗い流しました。

「あれ?」

 髪を洗おうとして、シャンプーが切れている事に気付きました。
 辺りを見回してみても、買い置きがある様子がありません。
 まろんがなかなか浴室に入って来る様子が無かった事もあり、都は浴室を出て
白いバスタオルだけを躰に巻きつけ、まろんの名を呼びながら廊下へと出ました。

「まろん? シャンプー切れてんだけど、買い置き無いの?」

 リビングにはまろんの姿は無かったので、まろんの部屋に行くと、部屋の扉は
廊下に向かって開いたままでした。

「まろん?」

 まろんの部屋を覗き込むと、まろんはそこにいました。
 部屋には灯りはついておらず、外から入り込む月明かりだけが唯一の灯り。
 その薄暗い部屋の中で、まろんは立っているのでした。
 目が慣れてくると、まろんが受話器を持ってどこかに電話をかけているのだと
知れました。
 何も喋っていないという事は、先方を呼びだしている最中なのでしょうか。

 相手が出ないのであればすぐに切るだろうという都の予想とは裏腹に、暫くま
ろんは受話器を持ったままでした。
 それは時間にすればほんの数分。
 それでも、都には十分すぎる程長く感じられました。

「はぁ」

 漸く諦めたのか、まろんは受話器を置くと、ベットの上に置いてあった着替え
を手にしました。
 それを見た都は、慌てて首を引っ込めると、脱衣所へと足音を立てないように、
それでいて早足で戻って行くのでした。


●オルレアン・ミストの隠れ家

 深夜三時を過ぎた頃。
 まろんの受け継いだ魂を狙う魔界の者共は再びミストの隠れ家に集いました。

「瀬川ツグミは我が術中にはまりました」
「シルクが上手くやったようね」
「はい。もっとも、彼は自分が何をしているのか判っていないでしょうが」
「大丈夫なの?」
「その方が瀬川ツグミに気付かれないでしょう」
「だと良いのだけど」
「それよりクイーン。貴方の方も手駒の手配を」
「判ってる」
「それと、可能ならば日下部まろんの方も」
「それは、まろんの心次第ね」
「そのための仕掛けです」
「上手くいくのかしら? あれは、案外図太いわよ」
「ですね。最善の努力はしたつもりなのですが」
「それにしても思うのだけど」
「何でしょうか」
「この作戦、あいつが言い出した気がするのだけど」
「御意」
「何であたし達だけで頭を悩ませているのよ」
「全くです」
「それなのにあいつのあの態度は何?」
「悪ふざけが過ぎる」

 フィンとノインは、珍しくもソファに座っているミストの方を同時に見ました。

「酷い言い方! これでも作戦に向けて『練習』してるつもりなのにぃ!」

 そう言い、ミストは膨れました。
 明らかにいつもとは違うしゃべり方で。

「その…貴方の『術』の素晴らしさは判っていますから」
「その格好、落ち着かないから止めてくれないかしら」
「そう。人間共が中身よりも外観で物事を判断すると言うのは事実のようね」

 そう言い頷くミストの姿は、フィンとノインには彼らの良く知る別の人間の姿
に見えているのでした。

(第146話 完)

 2月16日深夜までのまろん&都と魔界の皆さんでした。

#最近、誰かさんの出番が無いような気がするのは気の所為(汗)。
#ちなみに佐々木さん設定でミストにこんな芸当が出来たでしょうか(笑)。

 では、また。

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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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