From: Keita Ishizaki <keitai@fa2.so-net.ne.jp>
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Subject: Re: C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0(2/4) (Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18))
Date: Thu, 16 Aug 2001 07:06:43 +0900
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石崎@夏休み中です
この記事は、藤森英二郎さんのさくら&ジャンヌ妄想小説です。
この記事は、4分割投稿のその2です。
その1及び藤森さんからの挨拶は、
<9leqm1$gt3$1@news01cd.so-net.ne.jp>よりお楽しみ下さい。
改ページ後より、藤森さんの妄想です。
(ここから藤森さんの妄想)
C.C. SAKURA OriginalStory#10 C.C.SAKURA VS K.K.Jeanne Episode0
アニメ版妄想小説No.10『さくらとまろんと冬の海』(その2)
★海水浴場 堤防の上
堤防の影に隠れて、ドキドキしながらさくらちゃん達の撮影現場を
覗き見しているまろんとフイン。
「いくら春休みでも、この寒空にすっぽんぽんでビデオ撮影なんて・・・
もしかして、悪魔はあの子たちに取り憑いているの?フィン。」
「悪魔の気配じゃないと思うけど・・・さっきから変な気配は感じるの。
それも、どんどん大きくなってくるみたい。」
「あら?どうしたのかな?急に。」
砂浜の二人の動きが急に慌ただしくなったのを見て不審に思うまろん。
二人の子供を覆って大きな影が海から砂浜に伸びて行くのに気が付き、
沖に目を転じてやっと理解します。
「あ、あれって、ま、まさか・・・つ、津波ぃ!?」
堤防の上からではまだ太陽が見えるのですが、
盛り上がった海が太陽を覆い隠し、その影が砂浜まで達していたのでした。
「お昼のニュースでやってた『十メートル以上』なんてもんじゃないわ!
倍はあるじゃない!」
「ま、まろ~ん、は、早く逃げないと・・・」
「いけない、あの子達が!!」
津波の高さはまだまろんのいる堤防よりは低いようだが、
どんどん高くなってきている。しかも、そのままの高さだったとしても、
その勢いなら一部は堤防を越えて町へなだれ込みそうだ。
それより、砂浜にいる二人の子供は間違いなく巻き込まれる!
「だめよ、まろん!あの子たちのいる所に辿り着く前に津波が襲ってくるわ!」
堤防から飛び降りて、波打ち際にいる子供達の所まで走ろうとしている
まろんの耳をつかんで引き止めるフィン。
「や~ん!耳を引っ張らないでぇ!・・・そうだ!ジャンヌに変身すれば!」
「ま、まだロザリオに天使のパワーを入れてないの!変身できないわ!」
「んもう!肝心な時に役に立たないんだから!フィン、お願いっ!」
「お、オッケイ・・・」
(津波に飲み込まれても、絶対あの子達を助けなきゃ!)
ジャンヌに変身するため、ロザリオにフィンの力を入れてもらうまろん。
まろんは津波が来る前に子供達を安全な場所に移すことができなければ、
海に飛び込んででも二人の子供を救出するつもりです。
しかし、そうこうしている内に津波はどんどん岸まで迫って来るのでした。
★海水浴場 砂浜
「間違いあらへん、ウェイブのクロウカードや!」
「大変ですわ!あの高さですと、堤防を越えてしまいそうです!」
「ここで封印しないと、町が・・・!」
フライを使って知世ちゃんと二人乗りすれば簡単に空に逃れられる
さくらちゃんですが、津波が町を襲いそうだと聞いては
逃げ出すことなどできません。
また、シールドを使って自分達だけ身を守ることも。
「・・・ケロちゃん、知世ちゃんをお願い!」
「どないするつもりなんや、さくら!?」
「さくらちゃん!」
「シールドを使って、津波より高い壁を作ってみる!」
「無茶や、さくら!高さはともかく・・・」
「幅は1キロ以上ありそうですわ!」
「それでも、やってみる!」
「・・・こんな時、フリーズのカードがあったらよかったんやけどなあ・・・」
「フリーズさんなら、あの津波を止められるのですか?」
「ウオーティの時と一緒や。水なら、凍らせてしまえばええ。」
「ここに来ることを、李君にお伝えしておけば良かったですわね。」
(李君・・・)
フリーズのクロウカードを持っているのは小狼である。
また、一時的にせよ津波を止められそうなタイムを持っているのも。
しかし、ここには小狼はいない・・・
「おらへんもんはしゃあない!さくら!がんばるんやで!」
「うん!」
★海水浴場 堤防の上
「待って、まろ~ん。様子が変よ。」
「きゃんっ!ま、また・・・耳はやめてって言ってるでしょっ!」
ロザリオにフィンの力を入れてもらい、いよいよ堤防から飛び降りてジャンヌに
変身しようとしていたまろんは、再びフィンに耳を引っ張られて引き止められます。
見ると、確かに波打ち際にいる二人の子供の動きがおかしい。
すぐそこまで津波が迫っているのに、逃げ出そうとするわけでも
腰を抜かして座り込んでしまうわけでもない。
それどころか、すっぱだかに見える女の子の方は津波に正対する形で
何やら棒のような物を構えている。
そして、ビデオカメラを持っている女の子の方は後ろに下がったものの、
まだ裸の女の子を撮影しているようだ。
「まさか、本当に悪魔はあの子達に取り憑いているんじゃ・・・?」
大波をバックにした、すっぽんぽんの少女を「美しい」と思い撮影する少女。
ずいぶん特殊な美意識を持った女の子に取り憑いたものだとは思うが、
ありえないことではないかもしれない。
だとすれば、撮影が終われば津波は消えてしまうのだろうか?
「ちょっと、様子を見た方がいいんじゃなぁい?」
「そ、そうね・・・」
今からでは、ジャンヌに変身しても到底間に合わない。
本当に悪魔の仕業なのか、それとも・・・
まろんとフィンは、津波に立ち向かうように立っている少女と、
それを撮影している少女を固唾を飲んで見守るのでした。
★海水浴場 砂浜
「ここに、町を守る壁を作れ!シールド!」
津波が到達する寸前に封印の杖を振るい、
シールドのクロウカードを使うさくらちゃん。
対シャドウ戦の時には複数の球状バリアを作り出したシールドですが、
今度はさくらちゃんの目の前に輝く壁を作り出します。
その幅は1キロ以上、高さは津波の1.5倍以上!しかし・・・
「いけませんわ!さくらちゃん!その高さでは・・・!!」
ゴゴゴゴゴゴ・・・どっぱあんっ!!
一瞬の後、輝く壁に激突する津波。
津波より高いシールドの壁に阻まれ、防がれたかと思った次の瞬間、
シールドで跳ね返った津波と、後続の津波とが合成され、
その高さは2倍に跳ね上がる!
「ほえぇ~~っ!!」
ドドドドドド・・・ザザザザザザ~ッ!!
シールドの壁で勢いは殺されたものの、高さを増して壁を越えた津波の
頭の部分は、さくらちゃんの上に滝のようになだれ落ちるのでした。
「さくらちゃん!」
「あ、あかん!」
津波に飲まれたさくらちゃんの方へ駆け出そうとする知世ちゃんの服の
えり首をくわえて空へと脱出するケロちゃん。
津波の大部分を防いでいた輝くシールドの壁が崩れ、
泡立ち荒れ狂う波が宙に浮かぶ知世ちゃんの足元をかすめて通り過ぎます。
「離してください!さくらちゃんが、さくらちゃんが・・・!」
「むぐぐ・・・冷静になるんや、知世!
もう少し海が落ち着かんと、さくらの位置もわからへん!」
「・・・さくらちゃん・・・!」
知世ちゃんの足の下には、津波の余波で砕け、逆巻く海が広がっている。
さくらちゃんのシールドのために勢いを大部分殺され、
堤防を越えられなかった津波がその怒りをぶちまけているかのようだ。
「ケロちゃん、もう少し下に降りてください!
わたくしがさくらちゃんをさがしますわ!」
「く~っ・・・あ、あかん!わいかてそうそう知世を支えられへんのや!」
「ケロちゃんに浮き袋代わりになっていただければ、わたくしでも泳げます。
私なら、さくらちゃんを誰よりも早く見つけられるはずです!」
「んなこと言うたかて・・・知世をこんな冷たい海に落としたなんて
知れたら、わいがさくらに怒られる・・・」
「お願いいたします!ケロちゃん!」(うるうる)
「・・・しゃあない・・・知世、頼むでぇ!
さくらを一刻も早よう見つけるんや!」
「はい!」
知世ちゃんの「お願い」には、ケロちゃんですら逆らうことはできません。
ケロちゃんはフードの中で知世ちゃんをくわえてぶら下げたまま、
水面近くまで降りてさくらちゃんをさがします。
「う~っ、く~っ、あ、あかん、もうもたへん!」
「あそこですわ!さくらちゃん!・・・きゃ~っっ!?」
ドッポーン!
1分ももたずにねを上げるケロちゃん。
それでも、あきらめずにさくらちゃんをさがす知世ちゃんは、
とうとう波間に白いものを見つけます。
しかし、ケロちゃんの力が尽き、波間にただようさくらちゃんのいる所に
一緒に墜落してしまうのでした。
★海水浴場 堤防の上
「本物の、『魔法少女』・・・!!」
堤防の上から、裸の女の子が棒のようなものを振ると同時に輝く壁が現れ、
津波を食い止めるのを目撃したまろん。
その一瞬後、壁を這い登ったように見えた津波が壁を越え、少女の上に
なだれ落ちるのも、後ろにいた少女が空を飛んで逃れるのも見てしまい、
しばしあっけにとられていました。
(そうよね、天使がいるんだから、魔法少女がいたっておかしくないわよね。)
目の前で起きたことがしばらく理解できずに、変な連想をしているまろん。
しかし、空を飛んでいた少女まで海に墜落するに及んで、ようやく我に返ります。
同じくあっけに取られて見守っているフィンを放っておいて、
堤防の上から飛び降りるまろん。
「ジャンヌダルクよ、力を貸して。」
ロザリオを胸に抱き、ジャンヌに呼びかけるまろん。
堤防の下まで達して渦を巻いている海に着地すると共に騎士
ジャンヌ=ダルクのシルエットがまろんの姿を覆い、
次の瞬間まろんは怪盗ジャンヌへと変身しているのでした。
「強気に本気、無敵に素敵、元気に、勇気!」
そのまま海へと飛び込み、空を飛んでいた少女が落ちたあたりへと泳ぐジャンヌ。
おそらく、空を飛んでいた少女は津波に飲まれた少女をさがしていて、
魔力が尽きて海に落ちたのだろう。
だから、その落ちた近くに二人の魔法少女はいるはず。
悪魔も、天使も、怪盗も、魔法少女も関係ない。
今、目の前におぼれている二人の少女がいる。
まろんが冷たい冬の海に飛び込むのに、他に理由はいらなかったのです。
★海水浴場 海の上
「さくらちゃん!さくらちゃん!しっかりして下さい!」
ぐったりとなり、目をつぶっているさくらちゃんの体を抱え、
岸へ向かって泳ぐ知世ちゃん。
息継ぎのできない知世ちゃんは元々10mしか泳げませんが、
ケロちゃんが残った力で浮き袋代わりに二人の体を浮かせています。
「く~っ!わ、わいが真の姿に戻れさえすれば・・・
二人くらいか~るく持ち上げられるんやけどなあ・・・」
砕けた津波の余波で荒れていた海もようやく静まってきて、
堤防の下に砂浜が見えています。そこまではわずか数十メートルの距離。
しかし冷たい海に体温を奪われ、体を動かすのもつらい知世ちゃんが
さくらちゃんを抱えたまま岸まで泳ぐのは容易なことではありません。
少し岸に近付いたかと思えば、波で引き戻されてしまうのでした。
「はあ、はあ、はあ・・・」
「?・・・だ、誰か来よる!?」
バシャバシャと泳ぐ水音がして、岸の方から知世ちゃんの所に近付いてくる人影。
まさか全部見られていたとは思いませんから、ケロちゃんは
浮き袋モードのまま知世ちゃんのフードの中で体を硬くします。
「助けて・・・さくらちゃんを、助けて!」
人影を認めて、知世ちゃんは自分のことより
気絶しているさくらちゃんを助けてほしいと声を張り上げるのでした。
*
(・・・いた!良かった、二人ともいるわ!)
波間に浮かぶ少女の姿を認め、助けを求める声を聞き、
さらに泳ぎに力が入るジャンヌ。
しかし、和服風で長い振り袖が付いたジャンヌの衣装は、
足はともかく手の方は非常に泳ぎにくいものでした。
(変身していれば、水もあんまり冷たくないけど・・・
このままじゃ、二人も抱えて泳げないわね。)
手に絡まる服に辟易したジャンヌは意を決し、
少女達の所に到達する寸前で頭のリボンをつかみ、引っ張ってほどきます。
変身シーンを見られてしまってもかまわないという思いで。
蝶結びになっているリボンがほどけると、
ジャンヌの変身が解け、まろんの姿へと戻ります。
水の冷たさに震え上がりながらも、まろんは二人の少女の元へと辿り着き、
二人を抱えて岸へ向かって泳ぎ出すのでした。
*
(・・・今、この方の姿が変わったような・・・?)
見知らぬお姉さんに抱えられ、岸へと運ばれる、
さくらちゃんを抱えたままの知世ちゃん。
薄暗くなってきた周囲に、自分の見間違いだろうと、
今はそれどころではないとも思い、それ以上考えるのはやめにします。
そんなことより、自分の腕の中でピクリともしない
さくらちゃんの方が気がかりでした。
(・・・二人分抱えているはずなんだけど・・・ずいぶん、軽いわねえ。
うらやましいわ・・・)
こちらは、抱えている少女達の体重が妙に軽いことを
うらやましがっているまろん。
実は、ケロちゃんが知世ちゃんのフードの中に隠れたまま残された魔力で
浮力を作っているせいだったのですが、まろんは
まさか「魔法少女お付きの小動物」までいるとは気が付きません。
妙に軽い少女達を抱え、ようやく足が付く所まで辿り着いたまろんは、
そのまま二人を抱えてザブザブと砂浜へと上がって行くのでした。
★海水浴場 砂浜
とりあえず、まろんが砂浜まで上がって二人の少女を降ろすと、
一人は気絶しているのかぐったりと横たわります。
しかし、もう一人は冷え切っているだろう自分の体も気にしないようで、
かいがいしく気絶している少女の介抱を始めるのでした。
まず、横たわる少女の胸に耳を当てて心臓の鼓動音を確認し、
唇と鼻に手を当てて呼吸を確認・・・どうやら呼吸していないらしい。
すると、すかさず少女の上に乗り、胸を圧迫して水を吐かせると共に、
少しもためらわずに少女に口付けして、人工呼吸を始めます。
その勢いは、まろんが手を出す暇もないほど正確・的確なもので、
しばしまろんは赤い夕日と海をバックに、
口付けを交わす二人の少女の姿に見とれてしまうのでした・・・
*
(・・・あら、すっぱだかじゃなかったのね。
ちゃんとウエットスーツを着てるじゃない。)
しばらく見とれていたまろんが、砂浜に横たわる少女が裸ではなく、
ちゃんと服を着ていることに気が付いたのはかなり後になってから。
それまでは、夕日の中で口付けをする二人の姿が、
美しくも猟奇的な光景だと思い込んでいたのでした。
何せ、春休みとは言え海水温は真冬の海と大差ないですから、
すっぽんぽんのびしょ濡れの少女の上に、服を着ているものの同じく
びしょ濡れの少女が覆い被さって口付けをしている姿は、
まろんに寒気を催させるほど美しくもあり、寒そうでもあったのです。
(・・・ほんとに寒気がするわね・・・)
「はあ、はあ、はあ・・・」
体が震えたため、自分自身もびしょ濡れだったことに気が付いたまろん。
見ると、人工呼吸をしている少女は寒さで震えてはいないようだが、
肺活量がないためか息を切らしていた。
「私が、代わるわ。」
少しためらった後、砂浜に横たわる少女の上からどいた髪の長い少女。
心配そうに横たわる少女を見た後、まろんの方を見て、
両手を祈るように組みあわせてうるうるお目々で「お願い」します。
「お願い、いたします・・・」
(・・・く~っ!か、かわいい・・・)
こうして、知世ちゃんの「お願い」攻撃は
まろんをもノックアウトしてしまうのでした。(^^;
*
「はあはあ・・・背中が、暖かいですわ・・・
ケロちゃん、ありがとうございます。」
「すまんなあ、知世。今のわいにはこんなことくらいしかできんのや・・・」
小声で話を交わしながら、夕焼けの海をバックにさくらちゃんに
口付けをする、きれいなお姉さんを見守る知世ちゃんとケロちゃん。
ケロちゃんは、知世ちゃんのフードの中に隠れたまま、ファイアリィ(火)の
カードの力を使って、湯たんぽ代わりに知世ちゃんの体を暖め、
間接的にさくらちゃんの体をも暖めていたのでした。
「浮き袋でも、湯たんぽでも、ケロちゃんがさくらちゃんを助けるために
一生懸命なのは変わりありませんわ。」
「ま、まあ、こんな所で主(あるじ)を失のうたら、
わいの守護獣としてのプライドがやな・・・」
照れ隠しに言い訳をするケロちゃん。
とにかく、ケロちゃんのおかげで、知世ちゃんだけではなく
冷え切ったさくらちゃんの体にもぬくもりが戻ってきていた。
しかし、さくらちゃんはまだ息を吹き返さない。
知世ちゃんは、きれいなお姉さんがさくらちゃんに口付けして
人工呼吸をするのを、かすかな嫉妬と共に心配そうに見守るのでした。
*
(あら?この子・・・体が暖かい?)
さぞかし冷え切っているだろうと思った髪の短い少女の体は、
まろんが覆い被さってみると意外にもわずかに暖かかった。
(体温が回復しているのにまだ息を吹き返さないのは・・・
やっぱり酸素が足りないからかしら?
小学生くらいの子供の肺活量じゃ、
充分な酸素を送り込めないのかもしれないわね。)
新体操部に入るべく体を鍛えている自分なら、少女に酸素を補給するに
充分な肺活量があるだろう。そう考えたまろんは、
大きく息を吸い込んで横たわる少女の唇に自分の唇を重ねます。
(あ・・・やわらかい・・・)
間近で見る夕日に照らし出された髪の短い少女は、
先ほど自分に「お願い」をした髪の長い少女に匹敵する美少女だった。
まるで「眠りの森の姫」に口付けする王子様のような気分になった
まろんですが、ゆっくり唇の感触を楽しんでいるわけにはいかない。
「ふ~っ・・・す~っ・・・ふ~っ・・・」
少女の胸が膨らむほど息を吹き込んでは唇を離し、
大きく息を吸い込んでは再び口付けて息を吹き込む。
何度も、何度も繰り返し・・・目覚めることを願いながら。
(・・・これって、私のファーストキスなのかな・・・
ううん、人工呼吸はキスとは違うわよねっ!
そんなこと言ったら、この子のファーストキスの相手は
あの髪の長い子ってことになっちゃうもん。)
人工呼吸を続けながらも、なんだか不謹慎なことを考えているまろんなのでした。
◆アイキャッチ入りま~す(長いからアイキャッチも複数)◆
(2/4はここまでです)
後半部分は、8/17早朝に投稿する予定です。
私のフォロー記事はその後にでも。
では、また。
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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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