From: hidero@po.iijnet.or.jp
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 26 Sep 2000 12:04:29 +0900
Organization: Infonex Corporation
Lines: 327
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佐々木@横浜市在住です。
<8qdgim$8ti$1@news01bb.so-net.ne.jp>の記事において
keitai@fa2.so-net.ne.jpさんは書きました。
>> 石崎です。
こんにちわ。
>> このスレッドは、神風怪盗ジャンヌのアニメ版を元にした妄想スレッドです。
>> その手のが嫌いな人は、読まないで下さいね。
という事で宜しくです。
>> >>> ★神風・愛の劇場 第75話『歪んだ優しさ』
>> アキコは幽霊なので、イカロスに触れることが出来るのかどうか良く判らなか
>> ったので、その辺りさらって来た話ではぼかした表現にしていたのですが、どう
>> なんでしょ(汗)。
イカロスの身体には触れないはずなんで、魂に触ってるという事ではないかと。
# ミストがアキコを撫でているのと同じ理屈という事で。
>> それと、イカロスは仮死状態にあるので、ものを感じられるかどうかも不明
>> (笑)。
ですので感じているとしても五感の外の次元でありましょう。^^;;;
>> クイーンを名乗るだけあって、力はフィンの方がありそうですが、年の功はミ
>> ストの方がありそうです。
歳は圧倒的に上でしょうね。ミストって魔界草創期からの住人のはず。
# と、ミストが言っていましたから。(笑)
## 私のミスト編の今後の構成でもそうなっていますし。
>> 以上、これまでの話から見た推測でした(作者が推測してどうする)。
どのキャラも時々思ってもみない行動をしますから。(爆)
>> 佐々木さんがサブタイトル付け始めたのだと思いますが、難しいですよね
>> (笑)。
全く。一応コンセプトは「最初は判らないが、本文を読むと"ああ、
このタイトルはそういう意味か"と判る」という風にしているのですが。
# たまに単刀直入のも有りますけど。^^;
>> ちなみにもっと書き辛いのは、某所の一行コメント。
自分のパートがあそこに何と書かれるかをいつも楽しみにしています。
>> >★神風・愛の劇場 第76話 『繋ぐもの』
>> 三日でまろんちゃんの痣が消えたんですね。
>> リボンで締め上げられると、相当目立つ痣が残ると思っていたのですが、やは
>> り神の力故か。
最近、まろんちゃんが普通(笑)の女の子っぽく感じたので
少々差別化してみました。^^;;;
>> 弥白はがミストに操られていた時の事を覚えているんですね。成る程。
ミストが弥白様を使う理由は完全な悪魔憑きにしなくても暗示程度で
まろんちゃんを襲えるという点が便利だからだと思うのです。半分本音なので。
つまり悪魔の気配が薄いところがミソなんですね。
まろんちゃんに近づき易く、直前まで気配を察知されにくい。
代わりに例の「事件後はサワヤカに記憶喪失(笑)」にはならない訳です。
>> 予定だったのです。だから、とうとうツグミさんもやってしまったのかと(違)。
まさにそういう感じで「ギクリ」として頂きたかった部分です、あそこは。
>> 実は、首に包帯を巻いたまろんを弥白に見せるイベントも先の展開の候補に入
>> れていたりしましたが(笑)。
ぢつわ私の初期案でもそうでした。包帯ぐるぐるのまろんちゃんとツグミさんを
見かけた弥白様が夢じゃ無かったんだと確信して罪の意識に苛まれて
壊れてしまう…という具合であまりにも可哀想なのでボツに。^^;;;;;
>> ラストシーン、どうやらまろんちゃんはイカロスがいなくなった事に全く気が
>> 付いていなかった様子。
気付く前に血塗れのツグミさんが出てきたんで。^^;
>> すると、気が動転していたのは、イカロスが帰って来たからでしょうか。
まろんちゃんは怪我の所為だと思ったのです。怪我すると実際の怪我以上に
大騒ぎする人と、逆に無反応になっちゃう人が居ますでしょ、動転して。
つまり"怪我"と"気が動転"の順番を勘違いしたのが、
まろんちゃんの最初の間違い。
>> ★神風・愛の劇場 第77話 『見えぬ思い出』
短期的な今後の展開として、ツグミさんに付きっ切りになってしまう
まろんちゃんを見た都ちゃんが、ツグミさん落ち込みの根本原因を
解決する方に真っ先に動くだろうという風に考えていました。
我が意を得たりとはこういう事でしょうか。
# 例によってリミチャンかも。(笑)
そして、やっぱり動員されてしまう雑用係約2名。^^;
手配写真(違)を探す過程でツグミさんの過去が少しだけ出てきたりして
お話しの連繋が巧みです。そうですか、他の部屋も本で一杯ですか。
ツグミさんの母方は、おフランスの血筋に遂に決定。^^v
実のところ、ツグミさんの両親の不仲には文化的な部分での
擦れ違いも有りそうだと思っていましたから、割と主張というか
強情な風土の出身だろうかと漠然と考えていました。
# でもフランスがどうかは知らないんですが。^^;;;;;
昔の小さいツグミさんの写真を見て何か感じるのは
やっぱり都ちゃんの方だけでしたね。(笑)
それ以外にちょっと前のツグミさんも登場。
# 10代前半のツグミさん…えへへっ。(核爆)
聖センセ、お楽しみ中の様で。どこを強くナニしたんでしょうかねぇ。*^^*
# では行きます。
# ツグミさんが元気なら燃える一夜になるんでしょうけど。^^;
★神風・愛の劇場 第78話 『仮面』
●ツグミの家
夕飯の仕度も大丈夫だからというツグミを無理に押し止めて
まろんが全て行いました。もっとも、買い物に出かける訳にもいかず
有り合わせの材料だけで簡単に済ませたのですが。
その後にお風呂へ入りました。当たり前の様に一緒に入ってしまう二人ですが
今日は特にまろんには大事な役目が有りました。
包帯を濡らさない様に、右手をすっぽりとビニール袋で包んでいるツグミには
身体や頭を洗うのすら大変な事になっていますから、その殆どを
まろんが手伝う、というよりは全部面倒を見たという感じでした。
「何だか、お人形さんになった気分」
「そうよ、大きなお人形さ〜ん」
まろんはツグミの両肩に後ろから手を回して言います。
「こんな時に御免ね。ちょっとだけこのまま…」
ツグミは何も答えずに首をすこし傾けて、まろんの腕にもたれました。
*
脱衣所でもなすがままのツグミ。まろんが濡れた身体をバスタオルで拭いて、
髪をドライヤーで乾かしてからブラシをいれて梳きました。
すっかり終わったところで右手のビニール袋を外すと、
パジャマに袖を通すツグミ。ボタンもまろんがとめました。
バスタオルを巻いただけで、まだ湿った髪のままのまろんにツグミが言います。
「有難う。身体、冷えちゃったはずよ。もう一度温まって来て」
「平気だよ、私も出る」
まろんはそう言った途端に小さなくしゃみを一つ。
「ほらね」
「エへへ、それじゃ」
ツグミはまろんが浴室に入って扉を閉めるのを待ってから脱衣所をでました。
もう一度湯船に浸かったまろんは温まるのもそこそこに浴室を出て
髪を乾かすのは後回しにし、頭にタオルを巻いたまま脱衣所を飛びだします。
パジャマのボタンをはめながらリビングに向かいますが
そこには人気がありません。一気に汗が引いてしまいます。
他の部屋を覗く事はせず、まっすぐにテラスに出ました。
「ツグミさん!」
手すりに両手をかけて風に吹かれていたツグミ。上にガウンを着ています。
しっかりと手すりを掴んだ左手だけはそのままに、身体をまろんの方に向けました。
「どうしたの、慌てて?」
「だってツグミさん居ないんだもの」
「何処にも行かないわ。ちょっとのぼせちゃったのよ。
だから冷ましてたの」
「そう」
リビングに入ってソファに並んで座った二人。
まろんが見詰めている事を知っているのかいないのか、まろんには
横顔を見せたままでツグミは言いました。
「…また飛び下りようとすると思った?」
「へぇっ」
声が裏返ってしまい、まろんは思わず口を押さえなければなりませんでした。
それでも何とか落ち着いた調子で応じます。
「そんな事、無いよ。私は、色々不便じゃないかなって思ったから
傍に居る事にしただけだよ」
「怪我の事だけじゃないでしょ。本当は…それが心配だから
傍に居てくれているのよね。判っているわ」
ツグミはまろんの手をとって、今度は顔を向けて続けました。
「信じて。私は二度と馬鹿な真似はしない。あの日、温かい手が
私を繋ぎ留めた時から、私は自分を大切にすると誓ったの。
たとえどんな事があっても、絶対に」
「信じてるよ、でも…」
ふぅとツグミは深い息を吐きました。
「でも?」
「心配なの、放っておくのが。また怪我をするかも」
「大丈夫よ。もう落ち着いているから」
「そう?」
「案外、信用無いんだな、私って」
「だって」
困った顔をするまろん。
ツグミはそれが判っているかのように笑いました。
「じゃ、証明しましょうか。私がもうぼんやりしてないって」
「え?」
ツグミはまろんの手を放してソファから立ち上がると、すたすたと
キッチンへ向かって歩いて行きました。まろんも慌てて後を追います。
「手出しは無用よ、いいわね」
「うん」
まろんはツグミの勢いに押されて反論できませんでした。
黙って見ているまろんの前で、ツグミは戸棚からボウルやら
何かのパックやらを取り出します。そして焼型をひとつ。
「ケーキ焼くの?」
「ええ。寝るには早いし、昨日のお茶菓子は昼間食べてしまったでしょ」
そう話している間にも、ツグミは冷蔵庫から取り出した玉子を割って
2つのボウルに卵白と卵黄を分けて行きます。
卵黄の入ったボウルを泡立て器でかき混ぜて、砂糖、ほんの少しのサラダ油と
バニラエッセンス、それに何かよく判らない黒っぽい粉も少々。
卵白にも砂糖を加えますが、これだけは電動泡立て器を使い一気に泡立てます。
卵黄の方のボウルに小麦粉をふるい入れてかき混ぜ、泡立てた卵白を
3回に分けて加えていき、全部混ぜた所で焼型に入れました。
「あ…」
思わず声を洩らすまろん。ツグミは背中を向けたまま応えました。
「シフォンケーキは型にバターは塗らないのよ」
「…そうなの」
そんな事を言っている間にもツグミの手は止まらず、生地を
流し込んだ焼型がオーブンに収まるまでにかかった時間は30分弱でした。
それから20分後には焼型から盛り上がったケーキがテーブルに乗っています。
じぃっとそれを見詰めているまろん。
「冷めるの待ち遠しいね」
「なら、温かいまま食べてしまいましょうか」
「うん」
ツグミは焼型の周囲を叩きながら何度か揺すると、お皿の上に伏せて
ぽんと底を叩きました。型から落ちたケーキから湯気が上がります。
上側が円く盛り上がっていてケーキの座りが悪かったので
ツグミはそれを手早く裏返して、型の底側を下に直しました。
8等分に切っている間に、まろんが紅茶を入れていましたが、
それにはツグミは何も言いませんでした。
二人がそれぞれに、それらをリビングに持っていきます。
「さぁ、どうぞ」
「いただきまぁす」
一切れ頬張ったまろんは声にならない声を上げました。
「判った?」
「紅茶のシフォンだ、これ」
まろんはツグミがボウルに入れた黒い粉が紅茶の葉を
砕いた物だったのだと知りました。
「それで?」
「美味しいよ。何でも上手ね、ツグミさん」
「それだけ?」
ひと呼吸置いてから、わざとらしく渋々応えるまろん。
「普段のツグミさんに戻ってます」
「はい、その通り」
「でもね」
「何?」
「さっきも時々、やりにくそうだったよ、右手をかばって」
ツグミは素直に頷きました。
「それは認めるわ。とっても不便」
「だからね私…」
「判った。しばらくはお食事の準備とか手伝って」
「やった!」
「何よそれ」
「ははは」
「ただし条件があります」
「え、何?」
「学校にはちゃんと行って。早退も無し。部活にも出る事」
「え〜っ…」
テーブル越しに身を乗り出してツグミは言いました。
「信じてくれたのなら、一日中傍に居なくてもいいはず」
「そうだけど…」
「この条件が飲めないなら、私の家には出入り禁止」
「そんなぁ」
「どうなの?」
頬を膨らませているまろん。それがツグミに抗議の印として
通じたとしても、きっと引き下がってはくれない事は判っていました。
「判った。学校行きます」
「ありがとう」
*
翌朝、まろんは約束どおりに登校するためにツグミの家を出かけて行きました。
ツグミはまろんを見送ると、一人で寝室に戻りました。
「私も本当は誰かに傍に居て欲しい。でも、もう一度だけ、
思いっきり泣いておきたいの。あなたの見ていない所で」
それからしばらくの間、ツグミは枕に顔を伏せていました。
(第78話・完)
# 負けるなツグミさん。^^v
では、また。
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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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