神風・愛の劇場スレッド 夏のスペシャル版『魔物狩り』(前編)(8/7付) 書いた人:佐々木英朗さん
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Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
Date: 7 Aug 2000 17:24:53 +0900
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佐々木@横浜市在住です。

# あれはどちらかと言うと「ミサ」ではなく「サバト」では。(意味不明)

# これは「神風怪盗ジャンヌ」のヨタ話から派生した
# サイドストーリー(通称・妄想 ^^;)の記事です。
# お嫌いではない方のみ以下をどうぞ。

そういえばもっと早い段階で、こうした一区切りが
あってしかるべきだったなぁ、と思いつつ。
電波がぴぴっと来たので、こんなの書いてみました。

★神風・愛の劇場 〜これまでの粗筋〜

降臨した堕天使フィン。それは、まろんに精神的ダメージを与えるはず
だった。だが、フィンが帰ってきた事を純粋に喜び彼女の嘘をも温かく
包んでしまったまろんの態度にフィンは困惑する。そんなフィンの様子
を嘲笑っている者が居た。悪魔ミストである。ジャンヌに倒されたかに
思われたミストだったが真の本体は別にあった為、精神体として復活。
ミストは再び肉体を取り戻す為に稚空と都を誘惑し糧を得るが、その行
為は二人の心に傷を残す事になってしまう。一方、初期の目的を完遂し
得なかったフィンは側面からの攻撃を画策。まろんを手玉にとる為に、
瀬川ツグミをけしかける。だがそれはフィン自身の心に、自らが思って
もみなかった空虚さを充満させていく。肉体を得たミストは活発な活動
を開始。まろんを敵視している山茶花弥白を使って。数々の精神攻撃を
行うが全て切り抜けられてしまう。そんな中ノインだけは表立った動き
を見せず、静かに息を潜めていたのだったが。

※ 概ね第60話辺りまで。


さて、本題です。
皆様、お暑い中如何お過ごしでしょうか。
長々と続いている妄想にお付き合い頂き感謝しています。
今回はちょっと(大幅に)趣向を変えた読み切り短編をお送りします。
# 短編といいつつ長いので3分割。(大汗)


★神風・愛の劇場 夏のスペシャル版 『魔物狩り』(前編)

王国の中心から馬で1ヶ月の距離にある、桃栗村。
そこへ通りがかった旅の一行がありました。
彼等は宝物狩人。世界中にある過去の遺跡に眠っている
財宝を集めているのです。もっとも…

「ねぇ、疲れたよ。暗くなって来たし、この村に泊まろうよぅ」
「うるせぇな。最近お宝にめぐり逢って無いんだぜ。
 泊まる金なんかあるかよ」
「賢者さま。何とかして」
「僕にそんな事言われても…」
「とにかく村を抜けたら野宿だ」
「やだやだやだベッドで寝た〜ぃ」
「黙れ」

などと言いながら村の中心を通る道を歩いていきます。
中ほどまで来た所に一軒の食堂兼宿屋と思しき建物があり、
窓から漏れる灯りと何かの料理の匂いが道行く者を呼び止めるかの様です。

「ねぇ、稚空ってばさぁ」
「判った。こうしようぜ。まろんの剣を売り飛ばそう。
 それで宿に泊まる。さぁ、どうだ」
「却下。剣士から剣を取ったら何も残らないじゃない」

その時、宿の二階から声が掛かります。

「あんたは剣があっても無くても同じでしょうが」

一斉に見上げる三人。

「げ、都…」
「あ〜、どうもお久しぶりです」
「何和んでんだよ」

狼狽えている二人を見てニヤニヤしている都。

「安心なさい。悪いけど、私の獲物はあんた達みたいな小者じゃないのよ」
「あ、そうなの」
「(安心すると同時に腹も立つな)」
「僕らが獲物ってどういう意味でしょうか」
「お前、賢者だろ?」
「はい。一応」
「宝探しってのは場合によっては他人の土地に勝手に入る訳だから」
「ああ、そういえば違法でしたね。ははは」
「(ぉぃぉぃ)」

そんな事を言っている間に、都が下まで下りてきました。

「それよりあんた達、お腹空いてない?」
「そりゃ…」
「もう二日程食べてないの」
「ちょっと待て。三日前に食料が尽きただろ?」
「さては、まろんさんまた食料隠してましたね」
「えっと、いや勘違いだったかな。三日ね、そうそう三日前よ」
「何でもいいわよ、そんな事。此で食事して行かない?
 結構イケるのよ、この店」
「それが先立つものが…」
「最近、掘ってないの?」
「まぁ、何と言うか」
「いいわよ。おごってあげるわ」
「都様〜」
「なつくなっ!」

店の中。テーブルの上に見る見る積み重ねられていく皿。

「あんた達には遠慮って概念は無いの…」
「お姉さん〜ステーキ追加!」
「デザートのお勧め何かなぁ」
「僕、もういいです」

やっと食べ終えた頃には、何時の間にか他の客が増えていて
テーブルはほとんどうまっていました。

「ふ〜、食った食った」
「ご馳走さまぁ」
「何だか混んできましたね」
「この村、他に店無いしね。夜は酒場になっちゃうのよ」
「ふ〜ん」
「ただ座っていると迷惑だから、何か飲むでしょ?」
「え、いいのか?」
「これだけ食っといて何を今さら」
「なははは…」


酒が運ばれてきて、四人の前に置かれるのを待って都が切りだしました。

「で、あんた達に頼みがあんのよ」
「だろうな」
「え、何何?」
「どうぞ仰有ってください。僕らもタダとは思っていませんから」
「タダじゃ無いんだ…」
「実はね。魔物退治に付き合って欲しいのよ」
「魔物と来たか」
「この村の村長の娘がさ、呪いをかけられてて」
「その娘可愛い?」
「まろんは黙ってろ」
「ぶ〜っ」
「それで魔物の話は」
「話の腰折んないでよ。で、その魔物ってのが娘を嫁によこせって
 言ってるらしいのよ。断ったらご他聞に漏れず呪いって訳ね」
「今回の都の目当てはその賞金かよ」
「まぁね。村長ってもさ、貴族の分家で結構金持ちなのよ」
「で、俺らの分け前は?」
「私が七で、あんた達が三」
「冗談。半々だろ普通」
「嫌ならいいよ、別に。あんた達向きだと思ったんだけど」
「何かまだ有るのか?引っかかるな。言えよ」
「魔物の棲家を教えましょうか」
「何処なの?」
「桃栗石窟よ」
「何それ?」
「さぁ」
「水無月ぃ、説明してやってよ、この二人に」
「はい。あのですね、桃栗石窟というのは千六百年前の
 寺院の蹟でして、古代文明の中心だったとされています」
「あっそ、寺ね」
「別名、黄金寺院と言われてまして、石窟内部は純金張り…」
「許さんぞ魔物め。今すぐ出発だっ!」
「そうよ、女の子に呪いをかけるなんて許せない!」
「じゃ、決まりね」
「おおっ!」

早速、席を立つ二人。おっとり続く賢者・大和。しかし。

「慌てなさんな。まだ行かないわよ」
「なんでだ?」
「あと一人来るのよ。助っ人が」
「誰?」
「依頼主が本家に頼んで法皇庁から魔術士を派遣してもらったんだって」
「何時来るの?」
「今日着くって聞いていたんだけど」
「何だよ、火が着いちまった俺の正義の心はどうしてくれる?」
「その辺のカマドにでもくべちゃえば」
「じゃぁ私の…」
「あんたはなまくら剣でも磨いてな」
「はぁ〜ぃ」

三人が腰を下ろすと、店の戸口に黒衣の人物が現れました。
フードをかぶっていて顔も判りません。まるで影が立っている様です。
その影が店の中に入ってくると、客達の話がぴたっと止んでしまいました。
やがてその影は、まろん達のテーブルの脇に立つと言いました。

「この中に、賞金稼ぎの都さんという方は居られますか?」
「私よ。あんた、魔術士?」
「はい」

影がフードを脱ぎました。その下から黄金の髪が黒衣の上に流れます。

「ツグミと申します」
「ふ〜ん」
「(好みのタイプ〜)」

ちょっと考えていた都でしたが。

「別に疑う訳じゃ無いんだけどさ。一緒に仕事する以上は
 あんたがどのくらい"デキル"のか知りたいな」
「はぁ…」

困った顔をしている魔術士・ツグミ。そこへ後ろから声が掛かります。

「よぉ〜、そこのお姉ちゃん達〜、こっち来ない?」

酔った客が手を振っています。

「あれ、なんとかしてよ」
「そうですねぇ…」

ツグミは後ろを振り向くと、何か呟きそして
小さく指を鳴らしました。すると酔っ払い客達は、
皆そろってテーブルにつっ伏して眠ってしまったのです。

「これで如何でしょう?」

そう言ってツグミが振り向くと、そこには同じように眠っている四人が。

「…」

こうして魔物退治の旅は翌日に延期されたのだった。

(中編に続く)

では、また。

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