アメリカ大統領の大罪

 太平洋戦争は、アメリカ大統領が共産主義を信奉し日本に仕掛けた戦争だった・・・。世の中、トンデモな陰謀論は多々あるが、これはまんざら嘘でもないようだ。

 当時の32代アメリカ大統領、フランクリン・ルーズベルトをmadmanと呼んで、その陰謀説を主張するのは第31代アメリカ大統領のハーバート・フーバーで、その大著の要点が「日米戦争を起こしたのは誰か」(注)に紹介されている。決して日本びいきでないフーバーの分析であり、かのダグラス・マッカーサーも同意しているので、信頼できる。

 いわく、日米開戦から原爆投下、共産主義圏の拡大まで、(真珠湾のずっと前の)1933年以来19のターニングポイントがあり、そのことごとくにおいて、ルーズベルトと後任のトルーマンが悪化の方向に舵を切ったという。それも、「それまでの国是が世界情勢の変化に追い付けずに道を誤った」というのなら無能な指導者を持った不幸となるが、側近の反対を押し切り、選挙時の公約でもあった国是に反した道をわざわざ選択したというから確信犯だ。

特に日米開戦については、アメリカに益なしとして軍部も反対していたという。その証言も同書に紹介されている。軍人は好戦的と思われがちだが、真にプロであれば冷徹で常識的な判断をするもので、平和を唱えるだけが必ずしも平和につながらないと知る。

 オバマ大統領の広島訪問でクローズアップされた「アメリカ人の原爆必要悪論」も、否定される。当時、日本は白旗を上げており、強引に長引かせて無用な原爆投下にもっていったのは、アメリカ大統領側だったことになる。この点はアメリカ国内でも認識が正されつつあるようで、期待できる。

 戦後教育を受けた私は、戦前の日本人がいかにも好戦的で軍国主義で一方的に悪かったというイメージを持たされた。「戦前の日本人は悪」「戦後は一転して善」、「アメリカは正しい」しかし原爆や空襲などの残虐行為への大人たちの想い、反面フランクなアメリカ人への親近感。これらの矛盾がずっと釈然としなかったのだが、今回、開戦と終戦までの真相を垣間見て、すっきりした気分だ。

 ただし、日本はアメリカをはじめとする大国の真意を見抜けず、間の抜けた交渉を進め、アメリカ国民に現状を訴える策もとらず、いたずらに戦争を長引かせたわけで、反省すべき点は多い。日米共に、リーダー次第でとんでもないことになるという教訓でもある(今度の大統領選は大丈夫か)。

 庶民も責任が重い。人のよさは個人レベルでは美徳だが、それは誘導されやすいということだと肝に銘じたい。誘導されやすいというのは、最近の安保法制論議とかの軽いレベルの話ではない。戦後教育やマスコミで常識化(洗脳?)された東京裁判史観などの認識のことであり、とても根が深い。 

(2016.6.18)

(注)加瀬英明,藤井厳喜,稲村公望,茂木弘道 著「日米戦争を起こしたのは誰か―ルーズベルトの罪状・フーバー大統領回顧録を論ず」(勉誠出版,2016)


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